【既報関連】法定アマゾンでの森林伐採や森林火災増加を受け、環境保全や環境投資に関心を持つ欧州諸国が、モウロン副大統領に早急な対策を求める書簡を送付したと16、17日付ブラジル国内紙、サイトが報じた。
副大統領はアマゾン国家審議会議長を務めており、法定アマゾンへの環境対策を主導すべき立場だ。
だが副大統領は15日も、国立宇宙研究所(Inpe)が発表するデータの信ぴょう性に疑問を呈し、「連邦政府やブラジルのイメージを落とそうとの政治的な意図で発表する内容を選んでいる」とまで語った。
これに対し、国外から「アムステルダム宣言パートナーシップ」の7カ国(ドイツ、デンマーク、フランス、イタリア、オランダ、イギリス、ノルウェー)とベルギーの8カ国の署名入りの書簡が届いた。
これらの国々は、森林を伐採して切り開いた土地で生産した農産物やそれを利用した工業製品は受け入れないとの姿勢を表明しており、「欧州諸国は森林破壊とは無縁の品を求めており、ブラジルでの伐採拡大は、環境活動家や欧州社会、各国政府が定める基準に沿う形での貿易や投資をますます困難にしている」「森林破壊が続けば、欧州の消費者によるブラジル産の物品購入は難しくなる」と強調した。
欧州諸国は1~8月に、ブラジル産の農産物を67・7億ドル分(同期間中の農産物輸出額の9・71%)購入している。
書簡では、かつてのブラジルは環境法や法定アマゾンの森林破壊予防抑制行動計画などを打ち出し、伐採削減と農業生産増加を達成していた事にも触れ、伐採削減のための実効性のある対策の即時導入を求めた。
法定アマゾンでの森林伐採や火災増加は、欧州諸国がメルコスルと欧州連合との間の自由貿易協定を承認するための最大の障壁ともなっている。
副大統領は6月にも森林伐採増加を懸念する外国人投資家からの書簡を受け取っているが、軍派遣や延長以外は伐採・火災抑制策は講じられていない。
16日付現地サイトによれば、環境省は1~8月に2650万レアルの予算の0・4%の10万5千レアルしか支出していない。生物多様性保護の予算は138万8千レアルだが、使われたのは5万レアル、気候変動関連の研究費600万レアルは手付かずだ。
環境省は、監査関連の予算は国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)などの環境監視団体に送金済みで、85%が既に使われたというが、監査団体は、会計検査院などによる活動を制限するような規則導入や、職員や資金の削減などで、表層的かつ細切れな行動しか出来ずにいる。
副大統領は、国内外からの文書を受け、環境相や農務相、外務相まで加えた会合も開いたが、そこでも、欧州諸国の書簡は政治的な意図で書かれており、商用・外交の両面での対処が必要との考えを表明している。
一方、国内でも230に及ぶ環境団体や農業企業家などが、法定アマゾンの伐採削減のための提言をまとめた文書を提出していた。