中銀の通貨政策委員会は16日、経済基本金利(Selic)を年2%で据え置く事を決めたと16~17日付現地紙、サイトが報じた。
基本金利は9回連続で切り下げられていた。昨年年頭の基本金利は6・5%だったが、前回会議までに史上最低の年2%に引き下げられていた。
基本金利は、景気刺激が必要な時は引き下げられ、インフレ抑制が必要な時は引き上げられる。コロナ禍で景気が急速に減速した時は1%ポイントで2度切り下げられたが、中銀は8月に切り下げ幅を0・25%ポイントに止め、9月の据え置きも匂わせていた。
景気に関しては、今月発表された中銀経済活動指数で、経済活動が部分的ながら、少しずつ上向き始めた事が確認されている。
また、コロナ禍の影響を観測するための地理統計院(IBGE)の調査では、雇用状況などに改善の兆しが表れている事、中銀自身が8月の会議後に据え置きを匂わせた事などもあり、市場関係者は皆、金利据え置きを予想していた。
現在の基本金利はインフレ率以下で、実質金利はマイナス0・81%に下がっている。極端な低金利は為替や投資ファンドの動きにも悪影響を与えるため、これ以上の切り下げは困難との見方も一般的だ。
中銀は会議後、主要経済国の経済活動は回復し始めたが、新型コロナの流行がどのように推移するかの予想は困難な事などで、今後の動きは不透明との見解を表明した。
国内の経済活動も、政府の支援を受けてもコロナ禍の影響が強く残っている部門があると指摘。行政・税制改革や財政面でのコントロールの必要も強調した。
インフレについては、食品価格値上がりなどで8月のインフレ率が前月を大きく上回り、輸入米への免税措置なども採用された。だが、今年のインフレ率は政府目標下限の2・5%を下回る1・9~2・1%と予想され、コントロール下にあるとの見解を明らかにした。
ただし、統計上はコントロール下にあったとしても、米や肉、フェイジョンなどの生活必需食品の値上がりは「庶民の体感」や「生活感覚インフレ」を直撃する。選挙などの機会に、与党を攻撃する分かりやすい理由として取り上げられやすく、政治問題化する可能性がある。そのため不安要員であることに変わりはない。
なお、中銀は出来る限り長い間、経済基本金利を年2%で据え置きたいと願っているが、市場関係者は、政府が財政危機を回避する努力を怠れば、低金利の継続は難しいと見ている。
基本金利が低ければ、ローンを含む短期融資の返済金利は低く出来る。コロナ禍による景気悪化で苦しむ企業は、給与の支払いや活動の継続などにあてるため、中短期の融資を利用している。
15日付アジェンシア・ブラジルによると、全国工業連合(CNI)が連邦貯蓄銀行と提携して7月に試験導入し、8月に発足させた融資の利用額は既に、700万レアルに達した。この融資は零細・小規模企業向けで、返済金利は一般融資より最大28%低い上、返済開始までの期間も最大60カ月と長い。
また、18日付G1サイトによれば、8月第4週の失業率は14・3%で失業者は1368・7万人だった。前週は失業率13・2%、失業者1261・4万人だったから、1週間で107万人増えたが、これは求職者が増えた事が主因だ。コロナ禍で求職も止まった5月は、失業率が10・5%まで落ちていた(失業率に関する詳細は別記事参照)。