サンパウロ市市役所が行った調査によると、住民の13・9%は既に新型コロナウイルスに感染し、抗体を持っている事がわかった。
新型コロナ抗体率を調べる調査は5回目で、市内全域の保健所(UBS)472カ所の管轄の住民の中から無作為に選ばれた2226人を調査した結果、抗体を持つ人の割合は前回調査の11%より2・9%ポイント高まった。これを住民数にかけ合わせると、同市では既に164万人の成人がコロナに感染済みだという。
抗体を持つ人の割合を人間開発指数との関係で見ると、人間開発指数が高い地区では抗体を持つ人の割合が9・5%で、前回調査の6・2%より53%も高くなった。人間開発指数は平均寿命や就学年数などを総合して算出され、指数が高い地区は一般的に、裕福な人が多い地区と一致する。
割合が特に高まったのは、同市で最も裕福とされる市中西部で、前回調査で得たパーセンテージが倍になった。
それ以外の地域で抗体を持つ人の割合が目に見えて高くなったのは、市東部(前回調査の12・3%が19・6%へ)や市北部(8・3%が12・1%)だ。東部や北部は人間開発指数が低く、社会的隔離が困難などの理由で感染が広がった可能性が大だ。
人間開発指数が高い地区は伸び率こそ大きかったが、抗体を持っている人の割合は他の地区ほど高くないからだ。人間開発指数が高い地区での抗体を持つ人の割合は9・5%で、同指数が中程度の地域では13・2%、指数が低い地域では19・1%だった。中程度の地区では前回調査の12・1%より9・1%、低い地区では前回調査の14・0から36・4%高くなっている。
人間開発指数が低い地域の人は学歴が低く、黒人や褐色の人が多い。小さな1軒家に多数が住んでいるケースが多く、社会的な距離を保つ事が困難な例が多い。
住民が抗体を持っているか否かの調査は、6月10日から始まった。第2回調査は7月20日まで、第3回調査は8月6日まで、第4回調査は8月17日までのデータを解析している。無症状の患者の割合は調査毎に多少の差があるが、平均して見ると、約40%が無症状だったという。
抗体を持っている人は少なくとも1度、新型コロナウイルスに感染した事を意味する。抗体の数や強さは個人差があり、抗体が有効な期間も定かではない。
この点は、通常の予防接種を受けても抗体が出来ないまたは弱いため、感染する例がある事と共通している。ブラジル国内でも既に少なくとも数十人、再感染とみられる患者が出ている事も、今後の対策を検討する際、忘れてはならない点といえる。(17日付G1サイトより)