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《ブラジル》パンタナルの火災は犯罪行為?=農場からの火で保護区も焼失

パンタナルでの森林火災(20日付G1サイトの記事の一部)

 地球温暖化で、ブラジル中西部では過去50年で最悪とされる干ばつに襲われている。ただし法定アマゾンやパンタナルでの森林火災が例年より多いのは干ばつや高温だけが原因ではなく、人間の手も加わっている。
 20日放送のグローボ局番組ファンタスチコで放送され、連警が捜査中のパンタナルの4農場を火元とする森林火災もその一つだ。連警は衛星写真を使って複数地点の火災の火元を特定したが、連警によると、それらの火災の大半は人為的に起きたものだという。
 その一つは、マット・グロッソ州とマット・グロッソ・ド・スル州の境にあるパンタナル国立公園に近く、パンタナルでも最も保護されているはずの地域で発生した火災だ。火災の火元は、国立公園に近い農場の中だ。
 「連警は国有地にある保護区で起こる環境破壊や犯罪行為を捜査する権限を持っている」と明言し、「マタアー」と命名された作戦を指揮するのは、連警のレオナルド・ラファイニ警部だ。マタアーとは、パンタナルに住む先住民の言葉で、「火」を意味する。
 連警が使ったのは米国航空宇宙局(NASA)の衛星写真で、6月30日にある農場で発生した火災も、衛星写真によってとらえられた。
 国立再生可能天然資源・環境院環境分析官のアレッシャンドレ・ペレイラ氏によると、自然に起きる森林火災の唯一の原因は落雷だが、この日は落雷はなく、誰かが火を放った結果だという。
 翌日には隣接する農場からも火の手が上がり、大規模火災となった上、同様の出来事が別の二つの農場でも繰り返して起きたため、連警捜査官はこれらの火災に注目し、更なる捜査を進めた。

 四つの農場での火災を国立宇宙研究所(Inpe)のデータと照合すると、農場内で火の手が上がり、そこから火災が広がった事が確認された。連警が衛星写真を使って追跡調査を行った結果、火災は農場の境界線を越え、環境保護区を含む3万3千ヘクタールを焼失した事も判明した。連警は、牧場再生のための火が不適切な形で使われ、燃え広がったと見て捜査を続けている。
 今年のパンタナルでの火災は既に300万ヘクタールに及んでおり、農場内での火が燃え広がった例も多い。ただ、農場で起きた火といえども、全てが環境局などの許可を得た焼き畑(野焼き)だった訳ではない。
 牧草地を焼くと、その後の雨で牧草が再び生え、牛の腹を満たせるようになる。だが、干ばつと風が重なると、牧場再生のための火が瞬く間に燃え広がり、周囲の森林を焼き尽くしてしまい、野生動物の命を奪うという事態が起こり得る。
 連警が捜査対象としている4農場の一つはボンスセッソと呼ばれ、8月に捜査官が上空視察を行った時も、火の手が上がっていたという。ボンスセッソの農場主は、マット・グロッソ・ド・スル州の政治家や企業家絡みの汚職事件で起訴され、被告となったイヴァニウド・ミランダ氏だ。
 同氏の弁護士は「私の顧客は放火することはおろか、放火を命じた事もない」と言うが、少なくとも500~700ヘクタールが燃えた火災なのに出火原因は説明できずにいる。
 連警は今月、これらの農場で家宅捜索を行った。捜査はまだ進行中で、起訴には至っていない。パンタナルでの自然破壊行為には、15年以上の禁固刑が言い渡される可能性がある。(20日付G1サイトより)