サンパウロ市の地下鉄と都電(CPTM)の利用客が増え、8月は4月のほぼ倍になった。サンパウロ市と近郊の住民で鉄道輸送を利用した人は、4600万人から9千万人に増えた。
4月は新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するための外出自粛が継続され、鉄道輸送の利用者も少なかった。ここ数カ月は外出規制の緩和が段階的に進み、利用者が徐々に増えている。
だが、昨年8月の鉄道輸送利用者は2億840万人だったから、今年の8月は2分の1以下だ。
サンパウロ州政府のSPプランに従い、商業施設その他の営業が徐々に再開されている。そのため、サンパウロ市では地下鉄やCPTMといった鉄道輸送だけでなく、バス乗客も増えている。バスの場合も、8月の利用者は4月より65%増えたが、パンデミック前の半分強に過ぎない。
ただし現在の状況下では、公共交通機関の利用者が増える事は手放しでは喜べない。利用者が増えれば3密状態が起こりやすくなる上、不特定多数の人が触る場所や物、それらに触れる機会も増える。
その結果、マスクやアルコールジェルの使用を義務付けても、感染する可能性が高まるからだ。地下鉄やCPTM、バスは消毒や換気を励行しているが、感染が起こり易い環境である事には変わりがない。
専門家は、石鹸で洗うかアルコールで消毒していない手で顔に触れないとか、座席や扉その他のものの表面には極力触れない、飛沫感染を防ぐ効果があるタイプのマスクを使用する、湿って来たマスクは取り換えるなどの注意を順守するよう、続けて呼び掛けている。
乗物から降りた後は、適切な場所で手を洗う、またはアルコールで消毒する必要もある。
都市周辺交通局は、地下鉄やCPTMの運行状況を常に監視しており、混雑が増したと判断した時は即座に運行車両の数や本数を増やす事が出来るよう用意している。また、車両や駅のトイレなどの消毒に関しても、人員を増やし、より頻繁に清掃、消毒を行えるようにしている。
バスの場合も同様で、現在運行している台数はパンデミック前の87%で、1万1100台以上が路上に出ている。車両やターミナルの清掃や消毒をより頻繁に行っており、マスクの使用も含む感染予防策を市民に知らしめるための活動も継続的に行っているという。(21日付G1サイトより)