ブラジル中央銀行が23日、8月の直接投資は14億3千万ドルで、昨年同月の95億24万ドルと比べると85%減少したと発表したと23、24日付現地紙、サイトが報じた。
1月からの累計は269億5700万ドルで、こちらも昨年同期の460億ドルを41%下回っている。1~8月の投資額は、世界金融危機直後の2009年同期の189億7200万ドルに次ぐ少額だった。言い換えると、過去11年間で最低となる。
直近12カ月間の投資総額は、国内総生産(GDP)の3・51%に相当する545億ドルで、7月までの直近12カ月間の626億ドル(GDPの3・94%に相当)を下回った。
直近12カ月間の直接投資が545億ドルという数字は、2010年8月までの12カ月間の507億9500万ドル以来の少額だ。
これらの数字は、22日の国連総会でボルソナロ大統領が語った「ブラジルへの投資は増えている」との発言と矛盾しており、現政権に対する国際的な信頼性を揺るがしかねない。
大統領は「今年上半期の直接投資は昨年同期比で増えた」と語ったが、実際には、今年上半期の総額は253億4900万ドルで、昨年上半期の322億3300万ドルを下回っている。
ブラジルへの直接投資が激減したのは、コロナ禍で先行きが不透明な事や、コロナ禍が引き起こした世界的な不況が決定的な原因だ。このような状況は(少なくとも近年は)前例がなく、コロナ禍が終息に向かい、先行きが見えて来るまでは外国投資は回復しないとの見方が出始めている。
このような背景もあって、今年の外国投資は新規投資が少ないだけでなく、引き揚げられた投資も多いのが特徴だ。1~8月は282億8100万ドルもの純減となった。昨年同期は75億900万ドルの純増だったから、事態の深刻さは明らかだ。8カ月間の純減額は1995年の統計開始以来、最大だった。
8月の場合、ブラジル国内に止まっている直接投資額は23億4500万ドルで、3億ドル分は株式や投資ファンド、20億4500万ドル分は債券の形だった。
中銀は24日、今年の直接投資の総額見込みを、従来の550億ドルから500億ドルに下方修正した。実際にこの見込み額通りとなった場合は、2009年の314億8千万ドル以来の少額となる。
直接投資の見込み額見直しは、国内企業がコロナ禍による業績不振を取り戻すための資金を必要とし、国庫の赤字も拡大する中で行われた。
なお、旅行や送金から貿易、金融などの全てを含めたドルの動き(1~8月)は152億1500万ドルの出超で、1982年に中銀が統計を開始して以来、最大となった。昨年の年間出超総額は447億ドルで史上最大だったが、昨年1~8月の出超額は65億2600万ドルだった。