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【日本移民112周年記念】コロナ禍に立ち向かう日系社会の皆様へ=駐ブラジル日本国特命全権大使 山田彰

山田大使

 ブラジルへの日本人移住112周年を記念する「移民の日特別号」の発行をお慶び申し上げます。
 日本とブラジルの緊密な友好関係の重要な礎となっているのが、ブラジルにおける日系社会という特別な人的な絆です。日本人移住者及び日系人の皆様は、移住後に大変なご苦労を経験されましたが、ブラジル社会の信頼を勝ち得て、ブラジルの発展に大きく寄与されてきました。そのことに改めて敬意を表したいと思います。
 現在私たちは、新型コロナウイルスによる未曾有の困難に直面しており、日系社会の皆様も大変なご苦労をされていることと存じます。そうした状況においても、日系社会の皆様が歩みを止めず、この困難に立ち向かい、そして共に乗り越えようとされているその姿に、大いに勇気づけられています。
 まず、日系病院等で勤務されている医療従事者の方々は、新型コロナウイルスとの闘いにおける医療分野の最前線で、ブラジル社会に大いに貢献されています。
 また、日系社会は様々な形で、コロナ禍がブラジル社会にもたらした困難を乗り越えるための助け合いに率先して取り組んでいます。例えばサンパウロでは、様々な日系団体が協力して、サンパウロ市郊外の貧困層集住地区に食事を配布するプロジェクト「Água No Feijão」を展開しました。
 さらに、全国の各日系団体は、コロナ禍によって対面での行事の実施が困難な中で、セミナー、日本祭り、盆踊り等、各種のイベントをオンラインで開催するという新たな試みに積極的に取り組んできています。私自身もこれまでに、オンラインの様々なイベントにお誘いを受け、ライブで、またはビデオメッセージの形で参加し、皆様のそうした熱意に触れて、感銘を受けました。
 そして、このニッケイ新聞も、この危機の状況において、新型コロナウイルス関連の情報をオンラインで、そして紙面で日系社会に伝達するという重要な役割を果たしています。
 困難の中でのこうした取組に敬意を表します。そして、日本政府としても、私自身としても、日系社会と一層の連携を図り、できる限りの協力を行っていきたいと思います。
 皆で前を向いて、支え合って協力していければ、きっとこの困難も乗り越えられると思います。そしてまた近い将来、対面で皆様にお目にかかり、その喜びを共に分かち合う日を心待ちにしております。引き続き共に頑張りましょう。