11月15日の投票日に向け、26日に全国市長選の出馬登録が締め切られ、翌27日から選挙運動が幕を切った。サンパウロ市では、10月9日から始まる選挙放送では全時間の4割を現職市長が占有して有利と見られる。だが、選挙運動期間が短いために前評判1位のセウソ・ルッソマノ候補が息切れする前に投票日となる可能性や、SNSで強みを持つ右翼ユーチューバー候補やギリェルメ・ボウロス氏らも侮れないと見られており、最後まで目が離せない市長選になりそうだ。
全国市長選は4年に一度、通常なら10月第1週の日曜日に行われる。一次投票で50%以上の得票者が出なかった市は10月第4週に上位2候補による決選投票が行われる。ただし今年は新型コロナウイルスの影響で、一次投票が11月15日、決選投票が11月29日にずれこんでいる。
実際の選挙運動は27日にはじまっており、各候補者には「市長選に関する具体的な発言」や「ネットでの宣伝活動」、「街頭での宣伝」などが認められる。テレビやラジオでの選挙放送は10月9日からとなっており、これが11月12日まで続けられる。
選挙放送は、放送時間の長短が勝敗に大きく左右するとされている。16日付フォーリャ紙がサンパウロ市市長選に関して行ったシミュレーションによると、現職のブルーノ・コーヴァス市長(民主社会党・PSDB)は、民主運動(MDB)、民主党(DEM)、進歩党(PP)といった大型党をはじめ9党との連立にこぎつけたため、全体の4割近い、39・9%の放送時間を占有できる状態だという。
元サンパウロ州知事で18年知事選でも次点だったマルシオ・フランサ氏(ブラジル社会党・PSB)は、15・6%で2番手につけた。
世論調査の支持率は共に1~2%と低いながらも、政党の持ち時間の基準となる下院議員選の結果の良かった労働者党(PT)のジルマール・タット氏、社会自由党(PSL)のジョイセ・ハッセルマン氏は、各々、10・7%、10・1%の時間を持つ。
過去2度の選挙で投票日前までの支持率は1位だったものの、選挙放送の時間の短さに泣かされてきたセウソ・ルッソマノ氏(共和者・RP)は7・7%で、5番手の時間を持つ。同氏はボルソナロ大統領(所属政党なし)の支持が有力視されるが、以前に所属したPSLがジョイセ氏の出馬を取り消さない限りはこのままだ。企業家に影響力の強いアンドレア・マタラゾ氏(社会民主党・PSD)が6・6%で後に続く。
現在、世論調査で3位につけているギリェルメ・ボウロス氏(社会主義自由党・PSOL)や、右翼ユーチューバーとして知名度があり、18年の聖州議選で高得票を記録したアルトゥール・ド・ヴァル氏(パトリオッタ)は共に1・9%、2・3%と放送時間はほとんど望めない。だが、両者は18年の統一選で話題になったネットでの強みを持つ。SNSでの支持者数は、共に100万人を超えている。
また、選挙高裁は、18年統一選の際に社会問題化した、ワッツアップなどを介した、対立候補に対するフェイクニュース攻撃に対する取り締まりの厳重化などの対処にも追われている。