28日、ブラジル環境省傘下の全国環境審議会(CONAMA)の会議で、マングローブやレスティンガなどの原生林保護のための伐採制限など、四つの規制を緩和することを決めた。法定アマゾンやパンタナルの火災問題で環境対策が問題になっている中、さらに物議を醸しそうだと、28日付現地紙サイトが報じている。
CONAMAは環境省の諮問機関で、国内の環境保護の基準や、各種の環境許可を与えるための基準を制定する際の責任を負っている。四つの規制緩和は、その第135回会議で決まった。
この会議ではまず、熱帯や亜熱帯地域の河口汽水域の塩性湿地で群落や森林を形成するマングローブや、海岸部の砂浜に沿って広がる樹林のレスティンガといった、各地域の在来植生の保全のための伐採制限二つの規定が解除された。
これらの規制は、2002年3月から有効とされていたものだった。
今回の会議ではさらに、「セメント製造に使われる高炉での有毒廃棄物の焼却」が解禁され、「灌漑事業用プロジェクトを承認するための水や電力の消費の効率性」を定める規定も解除された。有毒廃棄物の焼却に関する規制は、1999年に制定、発効となっていたものだ。
CONAMAは昨年5月、96人いたメンバーが連邦政府によって23人にまで減らされていた。削減された委員の多くは、環境問題に関する公的機関や非政府団体のメンバーだった。残り23人となった審議会の議長は、リカルド・サレス環境相が務めている。同環境相には4月の閣僚会議で、「コロナを利用して環境法を緩めよう」と発言するなどかねてから批判が多かった。
この日の会議には連邦検察庁の代表も参加したが、投票権は与えられていない。検察庁のファチマ・ボルギ検察官によると、全ての決定は、本来必要とされている公聴会などの手続きを踏まずに行われた。この審議会には、規制を廃止する権限は与えられていないという。
グリーンピースなどの環境団体は会議後、「環境相や政府は国民の健康や生態系の多様性などを破壊する敵に他ならない」と厳しい批判を行っている。