連邦警察が29日、パラー州での保健関連の汚職摘発のための一斉捜査を行い、エルデル・バルバーリョ知事(民主運動・MDB)を含む、州政府要人や公立病院などが逮捕や家宅捜索の対象となったと同日付現地紙サイトが報じた。
「SOS作戦」では、パラー州政府と同州内の公立病院の運営を担当する社会団体との間で結ばれた12件の契約について捜査した。対象には、コロナ禍に対応するために建設された臨時病院に関する契約も含まれている。
これらの契約は19年8月~今年5月に結ばれており、契約額は計12億レアル。検察は、入札時の不正や文書偽造、公金横領、贈収賄、資金洗浄などが組織だって行われていたと見ている。
検察は、バルバーリョ知事が犯罪組織の長と見て捜査を進めており、72件の逮捕令状、278件の家宅捜索令状が出された。逮捕令状の内、12件は連邦高等裁が、62件はサンパウロ州内陸部の市の裁判所が発行した。
バルバーリョ知事本人は逮捕の対象ではないが、29日午前中に、知事側近のレオナルド・マイア・ナシメント容疑者と経済開発・鉱山動力局局長のパルシファル・デ・ジェズス・パンテス容疑者、運輸局局長のアントニオ・デ・パドゥア容疑者が逮捕された。
検察によると、不正は知事の指揮下で行われ、コロナ禍の緊急対策のために出した知事令も決定的な役割を果たしていたと判断。当時は州官房職だったナシメント容疑者と社会団体関係者らが裏工作を行って入札を操作したという。
社会団体側は病院運営などの事業を得た見返りに、州政府関係者らに贈賄を行った他、水増し請求も行っていたと見られている。
サンパウロ州の社会団体や医師をパラー州政府の要人と引き合わせたのは、金融関係のオペレーター役でだったニコラス・アンドレ・ツォンタキス容疑者とされている。警察は、同容疑者が社会団体関係者らにバルバーリョ知事と会うよう勧めた通話記録なども入手している。
連警は前記3人以外にも、パラー州保健局元局長補や社会団体関係者らに対する逮捕令状を要請した。パラー州政府は、捜査には全面的に協力するとの声明を出した。
29日の捜査には、連邦国庫庁(CGU)やサンパウロ州検察局、サンパウロ州市警も参加。逮捕や家宅捜索は、パラー州やサンパウロ州の他、ゴイアス、マット・グロッソ・ド・スル、ミナス、パラナの各州でも執行された。
パラー州では6月10日にも、人工呼吸器購入での不正に関する「ベルム作戦」が行われ、バルバーリョ知事や全国保健局長審議会議長のアルベルト・ベウトラメ容疑者らが捜査対象となった。6月の捜査後、同州政府は保健局長補のペテル・カソル容疑者を即日解雇したが、29日に逮捕令状が出た保健局長補はこのカソル氏だ。
サンパウロ州での捜査は「X線作戦」と命名され、サンパウロ市市議会とサンパウロ州保健局にも捜査が及んだ。これは、サンパウロ市市議の職員や州保健局の女医と弁護士が捜査対象となっていたため。また、カラピクイーバ市総合病院やオザスコ市市立病院、ビリグイ市とペナポリス市のサンタカーザ病院などでも家宅捜索が行われた。