新型コロナウイルスは早い時期にアマゾナス州を襲った。フリーゾーンがあり国内外から人の動きが多いアマゾナス州マナウス市では瞬く間に感染が広がり、4月には公立病院が満床となり医療崩壊が起きるまでとなった。その一方で早い段階から感染者数は減少し、日常を取り戻しつつある地域となりつつある。その「新しい日常」をマナウスの西部アマゾン日伯協会(錦戸健会長)に電話取材した。
全伯で一番早く日本語学校再開した西部アマゾン日伯協会
「協会が運営する日本語学校では対面授業を再開しました」。電話の向こうから錦戸会長の希望に満ちた声が響いた。同協会の日本語教室の社会人向けと子供向けクラスが8月下旬から再開しているという。ブラジルで一番早い日本語学校再開だ。
アマゾナス州では7月6日から私立の学校や大学などの対面授業再開を発表しており、国内で一番早く対面授業の許可を出した。再開開始となる6日には70%の私立学校が許可を得て授業を再開している。
錦戸会長は同協会の日本語学校再開について「予防対策を万全にするため再開が遅くなりました」と述べた。
万が一、生徒がコロナ感染して死亡した場合に訴訟となることも考えられるため、職員や教師らと共に事前予防対策について話し合いを重ねていたという。
対策としては同州政府の指示に従い、玄関でのアルコール消毒と検温や教室内で生徒が座る席間隔を開けるようにしている。40人以上いるクラスでは同協会の広い講堂も使用して人間距離を保つ工夫がされている。
受講者が多い午前の社会人クラスでは開始時間を7時半・8時・8時半の3つを設け、「休み時間をずらすことで密集を避けています」と説明する。
再開後は社会人コースで約500人、子供クラスで約100人が戻ってきている。「社会人は通常2月から6月、8月から12月の二学期制でしたが中止期間を考慮して今年は通年制にしました」と柔軟に対応している。
「再開できて収入源がなんとかなりました」と錦戸会長は胸をなでおろす。だが授業を中止していた期間の赤字分や、乾季に入って暑くなったために空調の光熱費が掛かるため、予断を許さない状況が続いている。
イベントや文化活動も再開へ準備
「一年に一度の行事でしたが、この日を心待ちにしている高齢者も多かったのだと実感しました」――マナウスでも軒並みイベントが中止となり、年に一度の「敬老慰安会」もできなくなり惜しむ声が多かったという。
以前は第3土曜日に句会が開催されていたが中止となり「高齢者は外にも出れず、鬱状態となった人もいました」と現状をかたる。
句会はオンライン開催も試みていたが新しい機械についていけない高齢者は多く、社会から断絶された状態となってしまった。
現状を打破するために俳句会に再開を持ちかけている。「句会は大勢が参加するわけではありませんし、協会には広い講堂があり、アルコールジェルなどの準備もあります」と説明する。
実際に現地で集まるイベントは未だ開催できていないものの、屋外で「運動会」が開催できないか話し合いがされているという。
錦戸会長は「カントリークラブではビンゴ大会の変わりにリッファ(抽選くじ)を開催するようです」と他日系団体の動きも例に挙げる。
例年、日系ゴルフクラブのカントリークラブが主催するビンゴ大会には日系企業から多くの豪華商品が提供されるため例年多くの人が参加する人気イベントにもなっている。
本年度は人が集まらずに出来るリッファ式に変え、抽選結果は10月17日(月)の19時から同クラブのフェイスブック上で抽選の模様が中継される。カントリークラブのフェイスブック中継は(https://fb.me/e/cZjF4f86m?ti=cl)で確認できる。