新型コロナの蔓延による経済不況の影響で、中央政府の8月の基礎的財政赤字額が960億9600万レアルとなった。中央政府の会計には国庫と中銀、社会保障院の三つが含まれる。
960億9600万レアルという赤字額は1997年の統計開始以降で最大だが、市場関係者が予想していた980億レアルは下回った。
また、8月の中央政府の収入は、昨年同月の収入をインフレ率+1%上回った。昨年同月の収入を実質的に上回ったのは、4月以降では初めてだ。
1~8月の累積赤字額は6012億8300万レアルで、同時期の赤字額としては史上最多だ。昨年同期の累積赤字額は520億6600万レアルだった。
8月の収入増は、コロナ禍によって経済的な損失をこうむった企業を支援するために納付期限が延期されていた、社会統合基金(PIS)や社会保険融資納付金(Cofins)の納付先延ばし分が入ってきた事などが影響している。
国庫庁によると、州や市に送付した分を加えると、8月の収入は昨年同月の収入をインフレ調整した分を5・8%上回るという。これは、所得税や工業製品税など、州や市と分割していた税収の地方送付分が減った事を意味している。
ただ、8月の収入が昨年同月を実質的に上回ったといっても、1~8月の収入はまだ、昨年同期より実質的に15%少ない。減収の原因は、新型コロナの蔓延により、生産、消費活動が止まった事とされている。
赤字額を拡大させているのは、収入が減ったのに支出を増やしたためだ。だが、非常事態を宣言したため、予算に計上された赤字額(1241億レアル)を超えても財政責任法に問われる事はない。
8月の場合、コロナ対策で増額した支出は931億レアルで、内453億レアルは緊急支援金の支払いに当てられた。州や市への支援金も152億レアルに上った。
国庫庁は、パンデミック後の財政を健全に保つためにも、支出上限を意識し続ける必要があると強調。無制限に支出を増大させていれば、社会や経済に甚大な損失をもたらすと警告している。(9月29日付アジェンシア・ブラジルより)