アルゼンチンが生んだ世界的な風刺漫画「マファルダ」の作者、キノが逝去した。9月30日付現地紙サイトが報じている。
キノの死は、彼の担当編集者のダニエル・ディヴィンスキー氏が、9月30日にツイッター上で明らかにした。死因は明らかにされていないが、数年前から脳血管障害(AVC)を煩っていたことが報じられている。
キノの本名はホアキン・サルヴァドール・ラヴァード・テホン。1932年にアルゼンチンのメンドーサで生まれた。
両親の死後、16歳で学業を断念したキノは、ほどなく漫画家としての活動をはじめた。1954年には漫画家として生計を立てるようになる。
代表作となった、6歳の少女の漫画キャラクター、マファルダは、最初は電気店のイメージ・キャラクターとして考案したもの。風刺漫画として描きはじめたのは1964年9月29日のことだった。
ビートルズに夢中な、社会問題を心配する女の子を描いた「マファルダ」は、1965年から新聞「エル・ムンド」で連載がはじまると大成功を収め、単行本として発行されると、スペイン語のみならず、イタリア語にも翻訳され、大ヒット。やがて30言語以上に翻訳され、数多くの国で出版された。
連載は1973年に終わったが、1976年には国連児童基金(UNICEF)のイメージ・キャラクターにも選ばれた。南米各国が軍事政権にある只中で、マファルダは子供の人権の象徴となった。
キノは「マファルダ」連載終了後も、晩年まで精力的に風刺漫画家としての活動を続けていた。
キノの死後、アルゼンチンのクリスチーナ元大統領、パラグアイのピニェラ大統領、ボリビアのエヴォ元大統領らが続々と追悼コメントを発表している。