先日テレビを見て居たら、プロ野球の横浜DeNA球団オ―ナーにNHKキャスターがインタービューしていました。
質問に応えて居た方はオーナーの南場智子さん、たよやかな美人です。対談していた人はNHKのスポーツ担当、元気の良さそうな大越健介さんでした。
丁度同じころ、ニッケイ新聞の樹海欄で深沢さんがマガジネ・ルイザのルイザオーナーを紹介しており、その成長の類似性に興味を憶えながら、楽しく読みました。
お二人とも、数々の困難を乗り越えて今日、自社を業界有数の存在に育て上げた方々です。男女差をまったく感じさせないその生きざまはとても素晴らしい。ブラジルにルイザさんが居れば、日本には南場さん在り――ここでは、その南場さんについて少し詳しくご紹介いたしましょう。
優秀だった学生時代
南場智子さんは、1962年4月新潟市生まれです。県内一と言われた新潟高校を経て、娘の教育に熱心だった父親の意向を受けて津田塾大学英文科を主席で卒業しました。
学生時代は写真の様にキュート(魅力的)な外見ながら成績は良く、周囲からも好感を持たれていたようです。
卒業後、経営コンサルタントの世界的企業マッキンゼー社に働き、後に同社の取締役になっています。その間、米国ハーバード大学で学び、同大学の経営学MBA(修士)の資格をとっております。
この様に働いていた会社のトップに登りつめたにも拘わらず、1999年同社を退職、6~7人の社員で自分の会社DeNA社を創立しました。
寝るのは一日2~3時間
DeNA(デイー・エヌ・エー)社とはブラジルではあまり聞きなれない社名ですが、東京に本社を置く、従業員2500人ほどの大企業です。
その業務は時代の申し子の様なインターネット関連業務・モバイルゲーム開発配信、SNS運営や電子商取引等々多彩に亘っています。
智子さんはその企業のトップとして業務を開発、発展させて来た訳ですから、その智力(開発力)もさることながら、寸暇も惜しむモーレツな働きぶりだったようです。
大抵明け方の2時ころまで会社で働き、自宅では2~3時間寝るだけ。朝5時にはもう会社に戻ってたのだそうです。世の中には確かにそういう人が居るのですね。
そんな知勇兼備のモーレツ社員と聞くと、イカツイ鬼面を想像するかも知れません。ですが、どうして、どうして、ご本人はそこいらの家庭でも見かけるようなたおやかなレデーです。
また、智子さんは政府関連の役職にもついています。 2003年には内閣IT戦略本部長、2004年、国の規制改革委員に就任し、丁度今の菅内閣が掲げている規制改革を先取りするよな仕事をしているのです。
さて、智子さんですが、夫がガン罹患と判った時、その看病に注力するため、DeNAの最高責任者の地位(CEO)を退任し、その死去(2011年)まで、夫の為に尽くしています。
米国留学、IT業務従事と言うと合理性や利益追求ばかりの冷たい人間と言う印象を持ちがちです。ですが、この様な行動を知ると、実は血も涙もある、温かい人なんだ、と感動もわきますね(その後、暫くして、同社のCEOに復帰しています)。
スポーツでも強いDeNA
DeNA社の活動、発展はIT、デジタル分野だけとは限りません。2015年には長く試合成績が悪く、親会社の「お荷物的存在」だった球団を買収し、「横浜DeNAベイスターズ」と改称。それまでの古いチームカラー(前身は大洋ホエールズ)を一新しました。
昔は何時も負けていて、相手チームに(勝ち数の)貯金を献上するので「横浜貯金銀行」などと揶揄されていたチームを、優勝争いをする優良チームに変身させたのです。
現在、巨人、広島など強豪チームのひしめくセ・リーグで健闘。阪神と抜きつ抜かれつ、熾烈な2位争いを繰り広げています。
経営的には本拠地スタジアムを持ち安定、ここ数年は黒字経営を維持しています。
「なぜ、ITの会社がプロ野球など畑違いの分野に進出したのか?」という質問には、球団オーナーでもある智子さんは「DeNAの業務はソフトの部分が多いので、外部の人には会社の様子が『物』として見えにくい。野球の様に多くの人が応援している分野は一般の人にDeNAを『物』として示してくれる」でした。
成程、相手チームとせっているときに「カーン」と一発、ホームランでも打ってくれれば、観客はスカッとして喜ぶ、会社の士気も上がると言うものですね。
DeNAは現在野球の他にプロバスケットボールのチームを持ち、他に陸上競技(マラソン)などでも選手を支援、育成しています。マンネリで成長鈍化と言われているプロ野球にもソフト企業がそれまでにない新風を巻き起こしてくれれば、何だか面白くなりそうですね。
なお、DeNAという社名は DNA(遺伝子)と e‐コマース(電子取引)を組み合わせた造語で、 『e‐コマースの遺伝子を世の中に広めて行く』という狙いなんだそうです。
NHKの大越さん
そのDeNAの南場智子さんをインタービューしたのは NHKスポーツ面のキャスター(責任者)大越健介さん(おおこしけんすけ、59歳)です。
大越さんも実は新潟高校の出身で、同校野球部では捕手、投手をやりました。野球少年の常で何とか東京六大学リーグでプレーしたいと願ったのですが、如何にせん、「新潟高校は野球強豪校ではないので、プロの卵みたいなのがひしめく強豪大学野球部ではプレー出来る目はありません。唯一六大学野球に出れる学校として東京大学に入った」のだそうです(勿論、冗談ですね)。
実際、東大ではピッチャーとして活躍し、00敗8勝を挙げています。大越さんも文武両道に通じる達人ですが、アナウンサー時代も自分のコメントも言う人として若いうちから著名でした。今月からは「NHK スペシャル」の責任キャスターとなったので、その活躍が期待されます。
地元の友人たちが酒の席などで「お前もこれだけ有名人になったんだから代議士とか県知事とかに立候補したらどうか。当選確実だぞ」とあおったら、「わが校は旧制新潟中学時代から政治家とか軍人にはならない、という伝統がある。僕もその伝統を継いで行きますよ」と応えたそうです。
コロナと自粛でうっとうしい世の中、新しい風を起こしてくれそうな、南場さん、大越さんらに大きなエールを送りましょう。=ご意見はこちらへ=〈hhkomagata@gmail.com〉