全国教育審議会が遠隔授業を21年12月末まで認め、今年履修出来なかった内容は来年までかけて学習できるようにする見込みだと6日付現地紙が報じた。
新型コロナウイルスの流行で、ブラジルでも5日現在で491万5289人の感染者と14万6352人の死者が出ているが、その影響はあらゆる分野に及んでいる。
教育はその一つで、3月以降、対面授業を停止し、遠隔授業に切り替えた。ネット環境が整わずに遠隔授業に参加出来ない、対面授業を再開したら教師や生徒に感染者が急増したなどの問題が生じている。
対面授業を再開する場合も、体温測定や社会的な距離確保などの諸条件を厳守すれば、以前と同じ条件で授業を行う事は不可能だ。そんな対面授業再開の時期は、各自治体の判断に任されている。
こういった諸事情をを受け、教育審議会は来年末までの遠隔授業継続を認めた。授業時間数や出席日数の不足、習熟度を確認するための試験などを来年までかけて補う事を検討中だ。試験が出来なければ評価も出来ないため、今年は原則的に留年もなくなる。この場合、来年の授業数は今年の不足分も含めたものとせねばならず、補習などでカバーする必要がある。
同審議会の審議以前に同様の判断をした自治体も少なくない。一例はサンパウロ州で、現在は高校3年に在籍中の生徒が来年も3年生の授業を受けられるよう高校4年生のクラスを開設し、5日から登録を受け付けている。
同州教育局は6日も、20~21年を一つの教育年度として扱う方針を明らかにした。詳細は語られていないが、課題などをきちんと提出した生徒は次の学年に上がる事を認めるが、遠隔授業を受ける事が困難で課題も提出出来なかった生徒は、来年も現在の学年の授業を受けられるよう配慮される。
現場の関係者は対面授業の重要性を認め、対面授業再開を決めた自治体の学校に在籍する生徒は対面授業に戻る事を勧めている。その場合は、体温測定や社会的な距離の確保、マスク着用に手洗い励行などの規定厳守が大前提となる。サンパウロ市のように、教師や生徒の集団検査を行っている自治体もある。
他方、教材の受取や課題の提出が困難な生徒がいる、生徒が実際に学習したかや理解の程度の確認が困難などの問題への対応や配慮も必要だ。
教材受取が困難な例は、6日付G1サイトが報じたエジミルソン・ウィエルゴス氏(47)と子供らだ。一家はパラナ州海岸部グアラツーバ市の農場に住んでいるが、子供達3人は隣接するサンタカタリーナ州ガルヴァ市の学校に在籍。コンピューターもインターネットもないために、エジミルソン氏は毎週、往復28キロの道を自転車で通い、教材を受け取っている。
「多くの物が足りないし、持っている物も本当に簡素だが、子供達への愛情や支援は惜しまない」「様々な困難を経てきたし、今も大変だが、諦めるという選択肢はない」と言う父親に子供達も懸命に応えている。