国際通貨基金(IMF)が5日、今年のブラジルの国内総生産(GDP)成長率を、マイナス9・1%からマイナス5・8%に上方修正したと5日付ブラジル国内紙サイトが報じた。
IMFは、緊急支援金などの所得下支えのためのプログラムを高く評価する一方、連邦政府の支出が急増し、公的負債が増えた事で生じる財政面リスクについての懸念も示した。
緊急支援金の受給対象は総人口の約3分の1に達しており、その他のプログラムによっても所得激減が起こらないような配慮がなされている。
ブラジル政府は非常に活力のある政策を講じて、より深刻な(リセッション)を回避し、金融市場を安定化させると共に、新型コロナウイルスの感染拡大でより深刻な影響に晒される貧困層の人々の損失を軽減した、とIMFは表現した。
だが、これらの政策が諸刃の剣となり、財政面に多大な負担を生じさせた事も指摘。感染の第2波が来た場合は、景気後退が長期化して社会的な影響が甚大化する点や、公的負債のレベルが高くなり投資家からの信頼感を失う可能性についても言及した。
IMFは公的負債がGDPと同額になる可能性を指摘し、このレベルが当面は続くとの中期展望も示した。経済基本金利が低下しているのに、長期金利は下がっていない事も指摘した。
IMFによると、長期金利を下げて公的負債のコントロールを失わないためには、公的支出を減らし、生産性を上げる事が必要だという。投資家の信頼を維持して金利上昇を防ぐには、ブラジル政府が歳出上限を厳守する必要がある事を強調。一方で、ブラジルは外貨準備高が充分なため、他の新興国より有利との見解も示した。