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《ブラジル》2カ月連続で雇用純増記録=パンデミック前には届かず=とりわけ深刻なサービス業

コロナ禍からの回復が遅れている商業(Fernando Frazao/Agencia Brasil)

 経済省の全就労・失業者台帳(Caged)によると、8月は正規雇用者数が2カ月連続で増加したが、コロナ禍による雇用喪失からの回復は業界間格差が大きく、サービス業や商業の雇用回復が遅れていると7日付G1サイトが報じた。
 8月の正規雇用者数は前月より24万9388人増えた。同月の新規採用者は123万9478人、解雇者は99万90人で、2カ月連続の雇用純増となった。約25万人の雇用純増は8月としては2010年以来の好結果だが、1~8月の累計はまだ84万9387人の雇用純減だ。
 8月の雇用純増は、製造加工業の9万2893人増、建設業の5万489人増、商業の4万9408人増、サービス業の4万5412人増、農業の1万1213人増などがけん引した。
 地域別に見ると、南東部10万4702人、北東部6万2085人、南部4万2664人、北部2万2272人、中西部1万7684人の雇用増となった。
 雇用増は全ての州と連邦直轄区で確認され、サンパウロ州の6万4552人、ミナス・ジェライス州の2万8339人、サンタカタリーナ州の1万8375人などがけん引した。
 だが、1~8月の累計で正規雇用者数が増えたのは、農業の9万8320人増と建設業の5万8464人増のみだ。
 パンデミック前の2月は正規雇用者が3910万人いたが、8月末現在は3790万人で、コロナ禍からの回復にはまだまだ時間がかかる。

 1~8月に正規雇用者が減ったのは店頭販売や店頭でのデモンストレーション担当者の24万9674人が最多で、ウエイターやウエイトレス、給仕人、ソムリエ13万1693人、事務職、経営部門の補佐的職員9万2706人、料理人6万2474人などと続く。
 8月になっても解雇者が出ているのは、外出規制緩和後もパンデミック前の状態に戻るのが困難なレストランや小規模な商店などが多い。これらの業界では、外出規制期間を何とか乗り越え、営業を再開したが、急速な業績回復が望めず、解雇もやむなしとなるところが出ている。
 サービス業の従事者は正規雇用者の約45%を占めるが、7~8月は4万844人増で、同期間中に記録した39万578人の雇用純増分の1割強。商業は7万5948人増えた。
 他方、工業や建設業は7~8月に14万6499人と9万2382人の雇用が増え、同期間中の雇用純増分の60%以上を占めた。工業は4カ月連続で雇用が増加。建設業の雇用は不動産販売の復調が後押ししている。
 7~8月に雇用が増えたのは、生産ラインで働く人の8万7935人が最多で、左官や大工の助手の3万7565人、在庫管理2万6380人などがそれに続く。同期間中に雇用が増えたのは給与が比較的低いオペレーターが多く、新規採用者の平均給与は1725レアルだった。
 企業の3割はまだコロナ禍の影響が残っている上、政府の緊急支援も年内で終わるため、急激な雇用の改善は望めないとの見方が一般的だ。