ボルソナロ大統領は7日、「ラヴァ・ジャット作戦は私が終わらせた。なぜなら、この政権は汚職がないから」と発言し、物議を醸している。8日付現地紙が報じている。
この発言は7日、大統領府でインフラ省が行う航空新プログラムの発表のイベントで行われた大統領演説でのものだった。大統領は、この直前までに起こっていた、ラヴァ・ジャット作戦支持者たちからの批判に対して「この素晴らしいマスコミを前にして言いたい。私はラヴァ・ジャットを終わらせたいのではない。ラヴァ・ジャットはもう終わらせた。なぜなら、現政権には汚職がないからだ」と発言した。
この発言には伏線があった。その直前、最高裁では、ラヴァ・ジャット作戦の審理のやり方が変わっていた。これまでは、最高裁に届いていた刑法判断や捜査許可に関して、第2小法廷(判事5人)による審理だった。それを大法廷審理(判事11人)に変えていた。
そこには、8月に長官に就任したルイス・フクス長官の思惑があると見られている。いままで通り、第2小法廷に判断を委ねられる場合は、とりわけ、前法相でもあるセルジオ・モロ元判事が担当した裁判の件に関して強い反発を持つ、反ラヴァ・ジャット派判事たちにより、裁判無効や無罪にされる可能性があるためだという。
その判事とは、リカルド・レヴァンドウスキー、ジウマール・メンデス両判事だ。さらに、大統領に指名され上院での審査待ちのカシオ・ヌーネス氏も反ラヴァ・ジャット派だ。同氏が承認されれば退官するセルソ・デ・メロ判事に代わり2班に入ることになる。フクス長官はそれを嫌っている。
このため、ボルソナロ大統領のカシオ氏指名に対しても反発の声が上がり始めているが、大統領はこの式の後でこの件についても触れており、「私は人を選ぶときはいつでも最高の人物を選んでいる」として反論した。
ボルソナロ氏は昨年8月に連邦検察庁長官を選ぶ際にも、反ラヴァ・ジャット派のアウグスト・アラス氏を指名して世間を驚かせた。アラス氏は就任後、ラヴァ・ジャットの本部のパラナ州や聖州班を頻繁に批判し、捜査を弱体化させる一因になっている。
大統領が中道勢力セントロンと接近することにより、このところ結びつきを強固にしている進歩党(PP)も今回の大統領発言に対する疑惑を高めている。大統領の旧所属政党でもある同党は、ラヴァ・ジャット作戦で捜査対象になった政治家を最も多く生んだ。カシオ氏は同党との強い結びつきを考慮されて選ばれている。
大統領一家にも、ラヴァ・ジャットではないものの、長男フラヴィオ氏がリオ州議だった時代の汚職疑惑「ラシャジーニャ」で渦中の人物となっている。カシオ氏の指名を推薦したうちの一人が、そのフラヴィオ氏だったということも、カシオ氏指名の疑惑を深めている。