マイア下院議長(民主党・DEM)が11日、行政改革は2021年に持ち越されるとの見解を示したと同日付現地紙サイトが報じた。経済省も9月末に、選挙が近い事などを理由に諸改革にまつわる動きを止めているため、税制改革も来年以降になる見込みだ。
マイア議長の発言はグローボニュースのインタビューに応えたもので、政府からの憲法補足法案(PEC)送付が遅れた上、税制改革や緊急PECの審議を優先する必要があり、年内に行政改革案の審議、投票を行う可能性はない事を認めた。
行政改革のPECは9月はじめに議会に送られており、憲政委員会(CCJ)が合法性などを審議した後、両院合同特別委員会を設置して論議、本会議にかけられる。CCJの活動は、新型コロナのパンデミックのせいで中断されている。
連邦政府が提出したPEC原案は公務員に関するもので、裁判官や検察官、軍隊、議員などには影響を及ぼさないため、行政改革案としては不十分とみられている。
同案では、勤続年数などによるキャリアの自動更新を禁じ、公共サービスへのアクセスも制限する。また、業績評価を厳しくし、役職数を減らすといった項目も含む。
マイア議長は諸改革の必要性を十分に認識しているが、テメル政権で扱い始めた年金改革案がボルソナロ政権で承認されたように、行政改革は時間がかかると見ている。
他方、彼も議会も、税制改革に向けた動きにはポジティヴな見方をしているという。また、上院が扱っている財政調整のための緊急PECを最優先する必要があり、政府が提出した行政改革案の審議はその後になると考えているようだ。
他方、11日付現地紙によると、現政権は、議会に提出した改革案の審議を待つ間も、公務員給与の凍結や新規公務員の補充停止、コミッションを伴う役職廃止、公共サービスのデジタル化などといった行政改革を進めている。これらの改革は今年、行政部門だけで680億レアルの節約を可能とするという。
ただ、現在進行中の行革が環境監視機関の職員数減少や監視活動のための資金不足などを招いているのは事実で、詳細な内容やそれによって生じる損失の監査が行われているかは不明だ。
なお、経済省が9月末に税制改革のための動きを止めたのは、政党リーダー達が9月28日に、ゲデス氏が同日提示した税制改革案に関する論議は統一地方選後にして欲しいとボルソナロ大統領に求めたからだ。
同改革案は、金融取引暫定納付金(CPMF、通称小切手税)に類する新税導入で1200億レアルの増収など、議会や国民からは不評な項目を含んでいるためだ。
経済省はまだ、新しい社会福祉政策のレンダ・シダダンの内容を詰め、財源を確保する必要などに駆られている。10日付現地紙は、ゲデス経済相が今も、ボルソナロ大統領が明確に否定した、アボノ・サラリアルなどの恩典廃止や、CPMFに類する新税導入を検討していると報じている。