ボルソナロ大統領は13日、交通法改正案を一部拒否権を行使しつつ裁可した。14日付連邦官報に掲載された同改正法では、運転免許証(CNH)の有効期限延長や、ポイント数を40に拡大することなどが盛り込まれている。公布から180日後に発効。13日付G1サイトなどが報じた。
これは大統領の選挙公約の一つ。昨年6月に大統領自らが連邦議会に足を運んで政府案を届け、連邦議会も優先事項として審議。下院が22日に最終案を承認した。大統領はその後、政府案から変更された点を吟味し、一部を拒否した上で、裁可した。ただし、大統領の拒否項目は議会が再審査する可能性がある。
議会が承認した主な変更点の一つは、飲酒ドライバーによって引き起こされた死傷事故に関する罰則で、たとえ意図的でなくても、禁固・懲役刑をより寛大な処罰に置き換えることはできず、加害者の権利を制限することを規定している。
現在の法律では、飲酒運転や薬物の影響下でドライバーが死傷事故を引き起こして有罪判決を受けた場合、禁固・懲役刑は代替刑に置き換えることができる。
政府案にあった、チャイルドシートを装着せずに子供を同乗させたドライバーに対する罰金撤廃などは、下院、上院ともに承認しなかった。
以下に主な変更内容を付記する。
【免許証の有効期限】
現行法では、ほぼ全てのドライバーが5年ごと、65歳以上のドライバーは3年ごとの免許証更新が義務付けられている。
改正法ではこれが、50歳未満のドライバーは10年、50歳以上70歳未満のドライバーの場合は5年、70歳以上のドライバーは3年に変更される。
ただし身体的または精神的な障害や運転能力を低下させる病気の兆候が見られた場合、審査官は免許の有効期限を短縮することができる。
【ポイント数】
改正法では、12カ月間の運転免許停止になる違反点数を、深刻な違反がない人には40ポイント、深刻な違反がある人には30ポイント、深刻な違反が2回以上ある場合は20ポイントと定めた。
各ドライバーの違反点数の上限は、違反内容に関係なく40ポイントで、違反点数が30ポイントに達したら、特別講習会に参加できる。
現行法では違反点数が20ポイントに達したら、運転免許が停止される。
政府案では、違反内容に関係なく、全てのドライバーが40ポイントに達するまで運転を継続できるよう提案していた。
【チャイルドシート】
身長1・45m以下または10歳未満の子供には、年齢、体重、身長に合わせたチャイルドシート着用が義務付けられる。政府案では違反に対する罰則は書面による警告のみだったが、改正法ではこの規則に違反すると、重大な違反とみなされ、罰金が科せられる。
その他、危険とされるオートバイの追い越しに関して、議会が入れた「渋滞中の車列と、止まっているかゆっくり動いている車両に限り、追い越すことができる」という項目に対して、大統領は拒否権を発動した。ボルソナロ氏は「運転手がより早く目的地に到達できることを尊重した」とSNS放送でその理由を語った。