ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》コロナ禍の雇用救援策を再延長=一時帰休と時短・減給策=既に970万人以上対象に

《ブラジル》コロナ禍の雇用救援策を再延長=一時帰休と時短・減給策=既に970万人以上対象に

月毎の緊急特典利用者数(14日付G1サイトの記事の一部)

 連邦政府が14日付官報を通し、雇用維持のための一時帰休(会社が経営難の際、一時的に労働者を休業させること)と時短・減給策の2カ月間延長を発表した。非常事態宣言が有効な今年一杯適用出来る救済策として4月に導入された政策は、労働者への緊急支援金支給同様、年末まで延長されたと13日付現地紙サイトが報じた。
 雇用と所得保全のための緊急特典(Beneficio Emergencial)は、新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が減速しても雇用を維持するための救済策だ。4月1日に出た暫定令(MP)は6月に議会でも承認されており、既に2カ月ずつ2度延長されている。非常事態宣言の有効期間は年内で終わるため、今回は最後の延長となる。
 緊急特典の具体的な内容は集団交渉または個人交渉(給与額で異なる)で決まる。時短・減給なら、勤務時間の短縮率は25%、50%、75%のいずれかで、雇用主はそれに従って給与を減額する。これに合意した労働者は、勤務時間を合意内容に従って減らす必要がある。減額分は政府からの緊急支援として失業保険から支払われる。
 失業保険支給額は1045~1813・03レアルなので、月給が最低賃金一つまでの人は政府が満額の支払いを保障するが、それを上回る人は失業保険で受け取れる額に時短率をかけた額を受け取る事になるから、通常通りの給与額は受け取れない。
 例えば、給与額2千レアルの人が50%の時短で合意した場合、会社が払う給与1千レアルと失業保険支給額の半額(約750レアル)を受け取る事になる。

 一時帰休は失業保険額が満額払われるが、会社の年商が480万レアル未満の場合は全額を政府が負担するが、それ以上の年商の場合は会社側も失業保険額の最低30%を負担する必要がある。
 会社側が個人交渉で不当な権力行使を行うのを避けるため、合意内容は組合側に通達されなければならない。また、失業保険からの緊急支援金は労働者の銀行口座に直接振り込まれる。各労働者への政策適用期間は最大120日間で、4~9月に同政策の対象となった正規労働者は973万4159人いた。内訳は、一時帰休43・6%、25%の時短14・6%、50%の時短18・8%、70%の時短22・1%で、時給契約扱いとなった人も1%いた。
 時短・減給の場合も一時帰休の場合も、企業側は政策適用期間と同等の期間の雇用を保証しなければならない。また、同等の期間を満たす前に解雇する場合は、違反金の支払い義務が生じる。同政策の対象となった労働者が解雇された時は、通常通り、失業保険を受け取る事が出来る。
 年金など(INSS、FGTS)の積み立てについては、一時帰休だと企業側には支払い義務がなくなるが、労働者が希望すれば、個人で積み立てを続ける事が出来る。時短・減給の場合は、減給額に従った金額を納入する事になる。
 休暇については、一時帰休の期間中は休暇の対象外となるが、時短・減給の場合は、休暇取得の権利は変更されない。13カ月給も、一時帰休期間は金額算定時の対象外だが、時短・減給なら、企業側は通常の給与額で満額を払う義務がある。