新型コロナウイルスのパンデミックで緊急支出が増える中、国際通貨基金(IMF)が、今年のブラジルの公的債務は国内総生産(GDP)を超える上、25年までは比率が拡大する見込みと発表したと14、15日付現地紙、サイトが報じた。
パンデミックのため、どの国も税収が減る一方で財政刺激策を採る必要がある中、IMFは、今年の世界の公的債務はGDPの98・7%に達するが、公的債務膨張は1度限りと見ている。
IMFによると、今年のブラジルの公的債務はGDPの101・4%に達するという。これは昨年の89・4%より11・9%ポイント増えており、4月に発表されたGDPの98・2%との予想も上方修正された。
しかも、IMFは来年の成長次第としつつ、世界の公定債務の対GDP比拡大は1度限りとの見方を示したのに、ブラジルの公的債務は25年まで拡大すると見ている。昨年10月の予測でのブラジルの公的債務は今年が93・9%で、22年の95・3%がピークだった。
公的負債の対GDP比拡大は、基礎的収支(プライマリー収支)の赤字急増などが原因だ。1~8月の基礎的収支の赤字はGDPの12・1%の5490億レアルで、昨年同期の0・46%を大幅に上回った。内2130億レアルは、4~8月の緊急支援金支給額だ。IMFは今年のブラジルの基礎的収支赤字額はGDPの12%、2025年は0・1%と見ている。
基礎的収支の赤字は国債などの利子の支払い額を含まず、基礎的収支の赤字を国債などで埋め合わせた場合、利子支払い分も含めた公的債務は増える可能性が高い。
IMFによると、国債などの利子支払い分も含んだ赤字額の対GDP比予測は16・8%だ。この数字は4月時点の9・3%を大幅に上回り、昨年の6%より10・8%ポイント大きい。内8%ポイント余りはコロナ対策費が占めている。IMFは、この赤字額は来年がGDPの6・5%、22年と23年は5・6%に下がるが、24年と25年は5・9%になると見ている。
なお、IMFはブラジルの公的投資は2年間で1%増えてGDPの2・7%に、民間投資は10%増えてGDPの1・2%になるとも予想している。
今年のGDPの成長率予想は1日早い13日に発表され、世界全体はマイナス5・3%がマイナス4・4%に、ブラジルはマイナス9・1%がマイナス5・8%に、各々、上昇修正された。