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《ブラジル》米国と貿易促進取り決め=手続き簡素化や汚職防止で=FTA締結にはほど遠く

3月7日、フロリダでトランプ米大統領とボルソナロ大統領(Alan Santos/PR)

 米国の大統領選挙まで2週間あまりというタイミングの19日、ブラジルと米国は両国間の貿易を促進し、煩雑な官僚的手続きの簡素化に向けた一連の取り決めに署名するはずだと16日付エスタード紙が報じた。経済分野の情報筋によると、この協定には、貿易円滑化、優れた規制の慣行、汚職防止の三つの合意が盛り込まれるという。
 この調印は、ボルソナロ大統領および米国通商代表部(USTR)と米州開発銀行の代表が参加するオンライン会議で行われる予定だ。
 パウロ・ゲデス経済大臣が昨年ぶち上げたブラジル米国自由貿易協定(FTA)締結には及ぶべくもないが、今回の一連の取り決めは、両国間において将来的に通商自由化議論を深めるための基礎となると、ブラジル政府は認識している。
 貿易手続き簡素化はこれまでも議論されてきたが、トランプ大統領が民主党候補のジョー・バイデン氏に敗れることにより、一番の同盟者を失うリスクを考慮して、ボルソナロ大統領はできるだけ早い時期の署名を望んでいた。
 在伯米国商工会議所(Amcham)のアブラム・アラベ・ネット副会頭によれば、この合意は両国間のビジネスを促進、後押しするための重要なテーマを含むものだという。
 同副会頭は、ブラジルと米国の間の商品とサービスの取引は年間700億米ドルに及び、相互投資のストックは1100億米ドルを超えていることにも言及、「貿易額はすでに大きいが、今後もさらに発展する余地が多く残されている。今回の合意は今後の貿易関係を決めるものになると信じている」と語った。

 両政府間の概算では、伯米間の貿易は、1~9月に25・1%減少した。輸出は31・5%減少し、年の最初の9カ月間としては2010年以来の最低レベルとなった。それでも、ブラジルにとって米国は、近年トランプ政権が貿易戦争を繰り広げている中国に次ぐ、2番目に大きな貿易相手国だ。
 主要合意点の一つの貿易円滑化は、商品の輸出入における行政や税関手続きの効率化を図り、取引期間の短縮化とコスト削減を目ざす。
 対策の一つは、政府の認証を持った貿易会社を「公認経済事業者」(Operador Econômico Autorizado、OEA)として承認するという両国の合意だ。それにより、認証を受けた事業者は、商品の到着から受け渡しまでを、ほぼ自動的に済ませることができる。
 二つ目の優れた規制の慣行に関する合意では、既存の規制を見直し、連邦政府が見直した規制が実行されているか否かを監督するための中央調整機関、またはそのためのメカニズムを設置する事などを予定している。
 三つ目の汚職防止は、この協定の交渉で最初に議題となったテーマで、公務員が賄賂を求めたり、受け取ったりする犯罪を支援または奨励したりすることを禁止する。腐敗した慣行を当局に通報する人々を保護するための措置も講じられるべきだ、と報じられている。