21日、上院憲政委員会(CCJ)の口頭試問(サバチーナ)と上院本会議の投票の結果、カシオ・ヌーネス・マルケス氏(48)が最高裁新判事に承認された。ボルソナロ政権で初めて任命される最高裁判事でもある。22日現地紙が報じている。
13日に定年退官したセルソ・デ・メロ判事に代わる新判事承認のためのサバチーナは21日午前8時から行われ、9時間を要した。2017年にアレッシャンドレ・デ・モラエス氏が法相から最高裁判事に指名された際のサバチーナは11時間30分かかっていた。
ボルソナロ大統領の指名でありながら穏健な判事ということで、左派受けもむしろ良く、承認は確実と事前に見られていたカシオ氏だが、いくつかの課題はあった。同氏はこの日、保守派を期待していた大統領支持派の上議への対応として、カトリックを土台とする教育が「自分自身の信仰とブラジルでの宗教教育の基本」との考えを口にしている。「生きる権利」の主張に賛同し、基本的に中絶に反対の立場は示しつつも、強姦による妊娠や胎児が無脳症の場合、母体に危険が及ぶ場合の合法的中絶に理解を示した。
そして、「否定派」と目されたことで注目されていたラヴァ・ジャット作戦に関しては、「汚職対策としては意味がある」としながらも、「正すべきところは正さなければならない」とし、「捜査命令や告発の承諾をする判事」と「裁判を担当する判事」を違う人物にする「保証判事制」を支持する主張を行った。
夫人がエルマーノ・フェーレル上議(進歩党・PP)の議員付職員として働いていた経歴に関し、カシオ氏は「妻が上院で何をやっていたは知らない」と答え、特定政党との結びつきを否定した。
9時間以上にわたったサバチーナの後、CCJでの投票が行われ、22対5でカシオ氏は承認された。その後の上院本会議では、41票集まれば十分だったのに、57対10で承認された。カシオ氏は保守派からだけでなく、労働者党(PT)を中心とした左派や中道勢力のセントロンからも支持され、ラヴァ・ジャット作戦の支持者以外からは好意的に迎えられた。
カシオ氏は北東部ピアウイ州の出身で、司法界では15年間のキャリアを持っている。2011年にはジウマ大統領(PT、当時)の指名で連邦第1地域裁(TRF1)の判事となっており、今回のボルソナロ氏の指名により、高等裁(STJ)を飛び越えての最高裁判事就任となる。
最高裁では同氏が最年少で、任期は75歳で定年を迎える2047年までとなる。