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日毎叢書企画出版により『楽書倶楽部』第55号が10月15日付で刊行された。冒頭の《異例の慰霊集合》(梅崎嘉明)には、いきなり泣かされた。8月15日の終戦の日を記念したエッセイで、1945年のその日の体験談を綴った貴重なもの。植民地で仲間と呼びかけあって、警察に捕まらないように、日曜夜にランプを持たずこっそりと自宅裏で焼香の列を作って、祖国の戦死者を慰霊する追悼集会を開いたエピソードだ。山畑實嵩さんの《出稼ぎ小話》では、日本での警備員稼業の裏話がたっぷり。女性警備員がトイレに困ってお寺の境内の奥で用を足しているのを奥方に見つかり、工事発注主の東京電力にクレームを入れられ、さんざ絞り上げられた実話も。細井まゆみさんの《進化するコロニア語》も抱腹絶倒。いわく「日本から来られた方とメトロに乗った時のことです。『車内アナウンスが、えっさっさー、エッサッサーと言っていますね』と言われて、私「えっー?」。なんのことはない、エスタソン・セーの事でした」など。 同誌に関心のある人は、同企画出版(11・3341・2113)まで連絡を。