《ブラジル》工業界の資材調達に支障=景気や雇用の回復に黄信号=負の連鎖ならインフレの恐れも

全国工業連合(CNC)やサンパウロ州工業連盟(Fiesp)の調査で、工業界では多くの企業が原材料の調達に困難を覚えており、価格も上昇している事がわかったと23日付現地紙、サイトが報じた。この事は、今後の景気や雇用の回復への黄信号で、物価上昇につながる可能性もある。
CNCの調査は1~14日に、27部門、1855社を対象に行われた。それによると、68%の企業が国内での原材料調達に困難を覚えている。不足する原材料を輸入しようとしても思うようにいかないと答えた企業も56%あった。パンデミック前より原材料価格が上がったと答えた企業は82%で、その31%は極端に値上がりしていると回答した。
同様な傾向は7~13日に414社を対象に行われたFiespの調査でも確認された。段ボール紙の場合、入手困難と答えた企業は59・5%に及び、パンデミック前より最大で30%値上がりしているという。鋼材は、67%の企業が入手困難と答えている。
工業界は現在、当初の予想以上のペースで回復しているが、回復が緩やかだった間は在庫で賄えた原材料が、国内での品不足やレアル高による調達困難や値上がりに直面しているのだ。
原材料の不足と値上がり、需要増が重なり、一部の企業では既に、生産ペースを落とす、納期が遅れる、受注を控える、といった影響が出始めている。
工業界が生産ペースを落としたりすれば、販売や流通などにも影響が及ぶ。景気や雇用の回復速度が落ちれば、新規採用を控えたりする企業が出て来るという、負の連鎖が起きる可能性もある。
パンデミックによる経済活動の縮小、停滞が失業率上昇を招いた事は周知の事実だ。もちろん、連邦政府が講じた一時帰休、時短・減給といった雇用維持政策や、緊急支援金の支給、在宅勤務採用などによる労働形態の変化で、パンデミック前よりも業績が伸びた部門もないわけではない。
だが、地理統計院(IBGE)が23日に発表したコロナ禍の影響に関する調査の結果では、9月の失業率は8月よりも0・4%ポイント高い14・0%に達した。
失業者数は、5月1010万人、8月1290万人、9月1350万人と増え続けている。失業者は前月比で4・3%、5月の調査開始時からでは33・1%増えている。
失業率の上昇や失業者の増加は、外出規制の緩和や緊急支援金減額などで仕事を探し始めた人が増えた事とも関係があるが、工業界の回復に水が差されれば、サービス業界の回復も遅れ、雇用増の機会も減少する。
原材料の値上がりで、少なくともその一部が消費者価格に上乗せされる可能性がある。生産ペースが落ちて生産量が減り、納期が遅れたりすれば、市場に出回る商品の量が減り、供給不足による価格上昇も起こり得る。
23日には、15日絞めの拡大消費者物価指数(IPCA‐15)が、9月の0・45%の倍以上の0・94%だった事も発表された。主なインフレ要因は食料品や航空料金だったが、工業製品が値上がりすれば、年末時点の物価指数はさらに高くなる可能性がある。