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JICA=「どんな最期を迎えたいか?」=超高齢化社会日本の在宅医療=日系社会にオンライン指南

永井医師(医療法人ゆうの森サイトより)

永井医師(医療法人ゆうの森サイトより)

 「しっかりと死に向き合った上で、本人がどの様な最期を迎えたいと思っているかを考えるのが重要です」――医療法人ゆうの森理事長で、当日の講師を務めた永井康徳医師は、在宅医療において重要な点をそう説明した。ブラジル時間の19日(月)20時、高齢化が進む日系社会に対し、独立行政法人国際協力機構(JICA)四国センターと「医療法人ゆうの森」の主催で「在宅医療」に関する講演会が開かれ、医療福祉や保健分野の従事者や在宅医療に関心を持つ人が聴講した。

 

 ギリギリまで延命をする専門機関の医療と違い、在宅医療は、治らない事や死ぬことを前提として医療を最小限にし、患者本人が「その人らしく」最後まで過ごせることをより大事にする。
 本人が家族と「どのような最後を迎えたいか」について、日ごろから十分に話し合っておくことが重要だと強調した。いざと言うときに備えて、予め家族とそのようなことを話し合っておく機会、「人生会議」(ACP、アドバンス・ケア・プランニング)をしていくことを永井医師は勧めた。

永井医師が立ち上げ、理事長を勤める「医療法人ゆうの森」について説明する様子。

永井医師が立ち上げ、理事長を勤める「医療法人ゆうの森」について説明する様子。

 というのも、いざ実際に命の危険が差し迫った病気や怪我を負う状態になってしまった後では、最後の医療やケアについて、約7割の人が自分の希望を伝える事が出来なくなっているというデータがあるからだ。「誰もが命に関わる病気や怪我する可能性があります」と念をおす。
 人生会議において重要な事として「①最初から考えすぎない②人によって最善の選択は違う③気持ちは何度変わってもよい④皆で一緒に悩む⑤結果よりも課程を大切にする」という五つを挙げた。
 同診療所の患者は安定期の人でも約1~2年後には亡くなる場合があるため、最初から「食べられなくなったらどうするか」と言った話を早い段階で話し合うという。

講演会を受講後、永井医師と話す森口エミリオ秀幸医師

講演会を受講後、永井医師と話す森口エミリオ秀幸医師

 医者がいない地方の日系移住地へ毎年、巡回診療へ赴く森口エミリオ秀幸医師(南大河州ポルト・アレグレ在住)も聴講し、「巡回の現場に通じる所が多く非常に共感した」とのコメントを寄せた。「巡回で診る日系高齢者も日本語が通じ、日本食が食べられる自宅で最期を迎えたい高齢者が多く、とても勉強になりました」。さらに「当院の医師も研修させて頂きたい。私自身も是非研修に行きたい」とも語った。
 また「ブラジルでは病床が少なく止む無く自宅で亡くなる人も多い」と当地の医療現場の事情も付け加え説明した。
 サンパウロ州立総合大学(USP)で老年学について教鞭を執るホーザ・シュバシ教授も「選択肢としての在宅医療」と言う点に関心し「介護保険がある事で選択肢が広がっているのでは」と所見を語った。


□大耳小耳□関連コラム
    ◎
 「人生会議」は厚生労働省も推奨している。自分で判断ができなくなった本人の代わりに、家族や身近な人が「この人ならこう希望するだろう」という場合を想定している。講演会の中で永井医師は、いきなり「死ぬ時」について話さなくても、何を大事にしているかを信頼している人と話しを重ねる事が重要だと話している。ちなみに厚生省は11月30日を「いいみとり・いいみとられ」のゴロ合わせで「人生会議の日」としている、是非、皆さんも大切な人と「自分が大切にしていること」について話をしてみては? 詳しくは「人生会議」のホームページ(https://www.med.kobe-u.ac.jp/jinsei/index.html)で。