庶民の食卓に欠かせない米や大豆油の値上がりが続き、業を煮やしたボルソナロ大統領が27日、大豆生産者に大豆の輸出を減らすように求めたと28日付現地紙が報じた。
米の価格は輸入関税免除後も上がり続け、1~10月の価格上昇率は51・72%で、2月以降では70%以上との報道もある。
だが、米以上に値上がりしているものの一つが大豆油だ。大豆油は1~10月に65・08%値上がりした。これを超えるのはレモンの67・67%だけだ。
食料類の値上がりが続いている事は、地理統計院(IBGE)が23日に発表した10月15日締めの拡大消費者物価指数(IPCA‐15)が0・94%で、9月の0・45%を0・49%ポイント上回った事や、1~10月のIPCA‐15は2・31%だが、食品類は9・75%上がった事でも明白だ。大豆油は10月も22・34%値上がりした。
25日には、現状を不満とする支持者が米などの値上がりに我慢出来ないと訴え、大統領がいら立つ場面が見られた。これを受け、大統領は27日に大豆生産者らと会い、「少しは国内に残すべきだ。さもないと大豆油の価格が上がる」と語り、収穫の一部を国内消費用に確保するよう求めた。
大豆の国際価格は中国による買付増加などで上昇し、ブラジルからの輸出も増えている。中国は大豆を豚の餌などに使っている。
経済省によると、ブラジルは1~9月に昨年同期比で27・8%増の271億6200万ドル分の大豆を輸出、内70%は中国に送られた。同期間中の輸入額は1億6千万ドルで、昨年同期比で314・7%増えている。
ブラジル植物油工業会(Abiove)は、植物油の値上がりは国際価格上昇と端境期が重なったためで、収穫が再開する1月には状況が改善すると説明した。
同会の資料によると、1~9月に国内で加工された大豆は昨年同期比で8・3%増の4460万トンで、大豆油は900万トン生産されたという。
生産者達は、荒れた農地の再利用を促すため、低金利で返済までの期間の長い融資導入と、承認基準の緩和を求めた。
なお、米や大豆油以外で値上がりした食品はトマト52・93%、フェイジョン・プレット36・71%、ロングライフ牛乳32・75%、リンゴ24・96%、フェイジョン・カリオカ21・15%、小麦粉13・76%、牛肉11・04%などだ。家庭で使う食品は12・69%、家庭以外で使う食品は3・41%上昇した。
家庭で使う食品価格上昇は、低所得家庭ほど圧迫する。
応用経済調査院(Ipea)によると、月収1650・50レアル未満の場合のインフレは、10月1・13%、今年3・68%、12カ月15・48%だが、月収1650・50~2471・09レアルだと10月1・02%、今年3・08%、12カ月4・87%。
同じように月収4127・41~8254・83レアルだと各々0・88%、1・95%、3・65%、月収1万6509・66レアル以上だと各々0・85%、1・07%、2・50%だという。