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GREEN KIDS=ラップに込めた心の叫び=高橋幸春(東京在住ジャーナリスト)〈3〉

 ブラジルで暮らしたこともある東海大学国際学科の小貫大輔教授は、「義務教育」から外国籍の児童を除外する動きについてこう語る。

「2019年に文科省が初めて実施した『外国人の子供の就学状況等調査』では、学齢相当の外国人の子ども12万3830人のうち、1万9471人(さらに母国に帰国予定ないし、すでに帰国済の子どもを加えると2万2488人)が就学していない可能性があります。つまり、外国籍の子どもの16〜18%(およそ6人に1人)が学校に行っていないかもしれないのです。

 『義務教育』、つまり『保護者が子どもに普通教育を受けさせる義務』のことであって、子どもにとっては『教育を受ける権利』の保障を意味します。この権利がすべての人に保障され、小・中学校の教育は義務的かつ無償でなされなければいけないことは、世界人権宣言でも国際人権規約でも明言されている通りです」

 しかし、現実にはそうではない。団地で生まれ育った児童は学校へは当然足が遠のく。生活は荒んでいくばかりで、団地には同じように行き場を失った先輩、仲間たちがゴロゴロしていた。

〈生まれたghetto磐田東新町/小さい頃から色々経験してるよ/喧嘩にドラッグ窃盗にBitchな女/先輩達はヤク中〉(「Real daily」)

 団地の中でも、双子の兄弟、ACAHAはその代表格。団地に住むブラジル人、ペルー人からさえも白眼視された。

「あいつらだけには近づくなって言われた」(BARCO)

 そのBARCOも窃盗を繰り返し栃木県の喜連川少年院で一年半の矯正教育を受けている。

「殺人、性犯罪、薬物犯罪以外はやってきた」(BARCO)

 荒れ切った東新町団地に迷い込むようにやってきたのがCrazy-Kだった。

〈あれは確か中3/俺と一緒だった/夢と希望そんなもの俺らになかった/小バカにされた〉(「E.N.T」)

 彼もまた鑑別所まで送られた経験を持っている。

 双子の兄弟、Crazy-Kたちは無免許運転で車をスーパーの駐車場に乗り入れて、万引きを計画的に実行した。スーパーカートに欲しいものを詰め込んで、レジを通さずに車に走った。奪った品物を車に積み込み、そのまま逃走。他の車に追突して大破させた。

「俺はスーパーの店内には入らず、車の中にいたんだけど、警察官にすぐに双子だとわかってしまい、俺もパクられた(逮捕された)」(Swag-A)

 双子の母親は、警察やスーパー、廃車にしてしまった車のオーナーに謝罪に飛び回った。

「あまりにもぶっ飛んだことをするので、それでFlightなんて呼ばれるようになったんだ。母親にはずいぶん迷惑をかけてしまった。俺たちが何かしでかさないか、それを心配して、自転車で駆けずり回り、東新町のチャリンコポリスって呼ばれていた」(Flight-A)

 「磐田市東新町団地における生活状況をめぐる調査の詳細分析報告書」(2016年3月研究代表 池上重弘・静岡文化芸術大学教授)には、子どもの教育に対する親の希望を集計したデータがある。

「もっとも多かったのは『(日本の)短大・大学を卒業』で30・6%を占めた。『専門学校を卒業』が24・7%でそれに続く。日本の高校卒業を期待する保護者は21・2%であった。日本の中学校や外国人学校の中学校段階を卒業するレベルでよいと考える保護者は20・0%で、保護者の多くが少なくとも高校卒業ないし外国人学校の高校段階卒業以上の学歴を期待している」(つづく)

GREEN KIDS – Real Daily

https://www.youtube.com/watch?v=YV-5LH0HwO8