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第67回全伯川柳(誌上)大会=2020年度 上位入賞者

 (課題「重ねる」)
1 重い荷も言葉一つで軽くなり    島田喜久枝
2 経験を重ねて拾う光る石      大城戸節子
3 年齢を重ねて知るや和の心     久保 久子
3 年重ね夢を重ねて白寿まで     西田はるの
5 青春の夢現実と重ならず      青井 万賀
(課題「悟る」)
1 ゆずり合い悟る尊い和の心     富松貴恵子
2 逆らわず生きる重みを悟る齢    今立  帰
3 人生はこんな物だと悟る老い    島田喜久枝
4 口ごもる言葉に悟る親心      桜井しずえ
5 老いて尚まだまだ悟る道知らず   那須アリセ
(課題吟4句総合得点)
1 島田喜久枝       40点
2 富松貴恵子       39〃
3 大城戸節子       32〃
4 久保 久子       26〃
5 桜井しずえ・今立 帰  24〃
 (柿嶋さだ子賞)
1 頂きし命大事に生きゆかん     島田喜久枝
2 人様の支えが有って今を生く    桜井しずえ
3 支えられおかげで命永らえる    今津三代子
4 柳界を支え惜しまれ散り急ぎ    那須アリセ 
    ☆
 全伯川柳大会が初めて開催されたのは一九五一年、以来今日まで六七回を数える。毎年順調に行っておれば今年は六九回目となるはずだったが、途中で二年ほどのブランクが生じているので本年は六七回目となる。
 当初は開催地があちこち転々としたために主催団体、後援団体がその都度代ったが、六二年からは「日伯毎日新聞社」(現ニッケイ新聞社)と「ブラジル川柳社」(ブ川社)の共催となり、同新聞社が「パウリスタ新聞」と合併して「ニッケイ新聞」となった時点で共催団体を辞している。
 以来「ブ川社」が独自の行事として大会を取り仕切り、柳人の多数居住する北パラナ州のロンドリーナ市とサンパウロ市の川柳会が一年交替で地元開催での実行に当たっている。
 今年はコロナウィルスの世界的蔓延の中、従来の大会方式での開催は不可能となり、前年度から始めていた誌上大会を継承した。
 一世の高齢化と柳人の減少で一堂に集まる大会はもはや望むべくもなく、また、前年度から導入していた「誌上大会」という新しい大会方式を継承したが種々難を来たし、必ずしも順調とは行かなかった。この間の事情を、実行委員会代表の鈴木甘雨さんは、報告書の中で次のように記している。
 【未曾有の国難とも言うべきコロナウィルスの、世界への感染拡大という大変なこの次期に、当初は大いに危ぶまれたのですが、皆様の川柳に対する熱意が届いたのでしょうか、第六七回全伯川柳大会はこうして何とか無事に終了することが出来ました。(中略)
 唯一つ残念だったことは、現下の郵便事情悪化により、肝心の大会選句帳が不着となってしまった地域があったことです。そのため、期日内の選句に間に合わず、やむなく締め切らせていただきました。そうした方々には心よりお詫び致します。(中略)
 本年はブラジル川柳社の創立七十周年という大きな節目の歳でもあります。当国に於ける日系コロニア文学界には様々な文芸団体がありますが、ブラジル川柳社もその中の一つとして、多くの先人、先輩達が今日に至るまで、脈々と継続して川柳文化を残してくれたお蔭で、私達はその恩恵に浴して、今、川柳に親しむことが出来る幸せに感謝したいと思います。今後もこの十七文字に込められた短詩文学である川柳の灯を絶やすことなく、皆様と共に守り続けて行きたいものと願って止みません。】   (以上文責・青井万賀)