メトロのサンジューダス駅から歩いて10分程、明るい黄色の建物が見える。店内に入ると広く落ち着いた雰囲気だ。
サンパウロ市ブルックリン区で2006年に創業し、今では市内に3店舗を構える。サンジューダス店は2つ目で、1日あたり約180人が来店する人気店だ。
創業者で店主のジョエル・オリベイラさんはミナス・ジェライス州の出身。以前はミナス料理店の単なる従業員だったそう。「セナドール・フィルミーノという町の生まれだけど、小さい町だから皆都会に出てミナス料理店を始めるんだよ」とジョエルさんは話した。
州南東部にある人口7千人あまりの小さな町だが、1700年頃には人が住み始めた伝統あるところだ。
店名の「ア・ラ・カルテ」とはメニューから1品ずつ注文する料理のこと。1品ずつじっくり味わってほしいという思いが込められている。またメニューには2、3人前の料理が多く見られる。家族や友人と楽しんで食事をしてほしいからだ。
ジョエルさんのモットーは美味しい、安い、種類豊富だ。人気メニューは肉料理で、ミナス風に味付けにしているのが人気の秘密。ミナス名物のカシャッサも50種類以上を取り揃えており、常連客は好みのカシャッサを選んでカイピリーニャを注文するとか。
取材日が水曜日だったことからフェイジョアーダを注文。2人前で62レアルだ。グツグツと煮立った壺がテーブルに置かれると、フェイジョン豆を煮込んだ甘い匂いが立ち込める。
このお店のフェイジョアーダの特徴は、油抜きをした「ライチ(軽い)」なこと。一般的なのだと脂肪がたっぷりで胃に重かったり、塩味が濃すぎたりして、最後まで美味しく食べられないことも。しかし、ここのは塩っぱ過ぎず、味がしっかりしている。
しかも分厚く柔らかい牛肉がたっぷりと入っており、ボリュームたっぷり。肉の旨味が強く感じられる。これがミナス風の醍醐味なのか。
ジョエルさんは「これからもメニューを増やしていきたい。より多くの人が食事を楽しめるお店にしたい」と展望を語った。家族、友人、恋人、大切な人と暖かい食事を分け合ってみては。
(2019年5月25日付ページより再掲載)