ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事は9日、中国製のコロナウイルスワクチン「コロナバック」の最初の接種予定分を11月20日に聖州で受け取ることになると発表した。9日付現地紙サイトが報じている。
ドリア知事は9日の定例記者会見で、中国の製薬会社「シノバック」社が開発したワクチン、コロナバックの第一陣(12万回分)を20日に受け取る予定であると発表した。コロナバックに関しては、10月23日に国家衛生監督庁(ANVISA)が中国からの600万回分のワクチン(完成品)の輸入を許可していた。
会見の席でドリア氏は、「このワクチンはすでに我が国と中国双方の衛生監督の機関から許可が出ている。まず11月20日に初回送付分がグアルーリョス空港に到着する手はずとなっており、サンパウロ市のブタンタン研究所に送られる」との予定を語った。
同知事はさらに、同研究所は12月30日までに600万回分のワクチンを受け取る予定であることも明らかにした。同研究所のジマス・コーヴァス所長は、安全確保のために保有場所は公表できないとした。
この会見では、コロナバックを生産するための工場を同研究所に増築することも約束した。工事はすでにはじまっており、ドリア知事が現場に立ち会った写真も公開されている。工場の建設は民間からの寄付によってはじまったが、ドリア氏は9月末に連邦政府からも8千万レアルの資金援助を受けることを希望していると語っていた。
だが問題は、ボルソナロ大統領がドリア知事とコロナバックを敵視していることだ。コロナバックに関しては、エドゥアルド・パズエロ保健相が10月20日の州知事たちとの会合で、4600万回分を国内で流通させることに同意し、ブタンタン研究所が生産するワクチンの購入と資金援助を約束したが、大統領が翌日、撤回を命じ、物議を醸した。
今回輸入がはじまった完成品は600万回分で、残りの4千万回分は中国からの技術提供を受けた同研究所が生産することになっている。ANVISAは10月28日に、国内生産のために必要な原材料の輸入も認めている。