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《ブラジル》ヴェルデ・ブラジルを延長=不法伐採抑制に新方策検討?=環境相による人事にクレーム

森林火災の消火に当たる軍兵士ら(Ministerio da Defesa)

 法と治安保障作戦(GLO)の一つで、11日に6カ月の任期を終えた「ヴェルデ・ブラジル第2弾」(以下、VB2)が21年4月まで延長され、法定アマゾンでの環境犯罪(森林伐採、森林火災、不法な鉱物採掘)の予防や取り締まりを続けると11、12日付現地紙、サイトが報じた。
 VB2では、国防省管轄下の3軍兵士が、連警や連邦道路警察、国家治安部隊などの治安当局、アマゾン保護システムの管理・運用センター(Censipam)、国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)、生物多様性保全のためのシコ・メンデス研究所(ICMBio)などの環境保護機関と共に活動する。派遣延長は国家アマゾン審議会が要請し、4日付大統領令で確定していた。
 現在の派遣兵士は3400人で、治安、環境関連職員は300人。車160台と小型船42隻、大型船2隻、航空機11機も動員されている。
 5月からの6カ月間で参加した消火活動は7500件を超え、陸路や水路での監視・巡邏活動も5万1300件以上。183人を環境犯罪で現行犯逮捕し、17万8千立方メートルの違法木材や2万6300点の武器と銃弾、390キロの麻薬、3万6774リットルの燃料などを押収した。治安・環境関連機関の職員の移送支援も1200回以上に上る。

 だが、こういった活動にも関わらず、森林伐採や森林火災は歯止めがかからず、法定アマゾンの森林火災は10月に昨年同月比で121%増の1万7326件を記録。2015年の1万9469件に次ぐ火災月を終えた時点の火災件数は、昨年の年間総数を超えた。パンタナルの火災も10月に昨年の総数を超えた。
 アマゾンやパンタナルでの森林伐採や森林火災の最多記録更新は、Ibamaなどへの資金解放を否み、各機関の責任者を軍関係者と入れ替えるなどして、監視活動を制限したり弱体化させたりしている現政権の環境政策が原因と、識者らは見ている。アマゾン南部の平均気温は1980年代より3度も高く、森林火災増加による大気汚染と不充分な医療体制は、コロナ感染症を含む呼吸器疾患の増加や重症化を招いているという。
 また、英国が10日、不法伐採で開発した農牧地で生産した農産物や木材の購入や、それらを使用した製品製造を違法とする事を正式に決めるなど、環境破壊への監視や制限が強まっている。
 国際社会からの批判や監視強化を懸念する環境団体や農業団体の要請を受け、連邦政府が2021年に、不法伐採や森林火災が起きた土地の所有権をはく奪するメカニズムを構築する事を検討中との報道もあるが、現政権の環境政策がいつ、どのような形で変わるかは世界中が注目している。
 現政権の環境政策の責任者のリカルド・サレス環境相に対する批判や罷免請求は昨年から続いている。今回は連邦会計検査院(TCU)が、同相がIbama役員に任命した9人(内7人は軍人)は学歴や経験などで職責に必要な条件を満たしていないと指摘。具体的な審理は今後始まる。