保健省が12日、8日ぶりに新型コロナウイルスの感染者や死者の統計に関する公式サイトを更新した。12日現在の感染者は4日比で19万1557人増の578万1582人、死者は3175人増の16万4281人で、コロナ感染症患者増加との医療現場からの声を裏付けた。
保健省のシステムは4日の更新後に不安定になり、複数の州の保健局がデータを更新できなくなった。5~11日は、同省が毎日発表したデータにも、4日の数字、5日の数字、7日の数字などの但し書き付きという異常な状態が続いた。
7日に同省が発表したデータは各州の数字と総計が感染者数と死者数共に一致せず、感染学上の第45週(1~7日)の正しい数字は算出できない。
だが、12日に更新された公式サイトの数字から5日の増加数(感染者2万2294人、死者630人)を引いた、6~12日の7日間の増加数は、感染者16万9263人、死者2545人で、7日間の感染者が17万5804人だった10月4~10日(感染学上の第41週)以来の高い数字となった。死者は減少傾向を維持している。
熾烈な選挙戦が続いた米国では1日に10万人以上の感染者が出ている事や、寒さや乾燥度が増している欧州などで感染者や死者が再び増え、国単位のロックダウン(都市封鎖)も起きている事は周知の事実だ。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は12日、「我々はコロナ感染症に疲れているかも知れないが、コロナウイルスは疲れていない」との表現で警告を発した。
ブラジルでの感染者増加は選挙キャンペーンと規制緩和が重なった事などが影響している。数週間前からは、コロナ感染症の来診者や入院患者が増えているとか、集中治療室の空きを待つ間に患者死亡との報告も出ており、選挙キャンペーンや「死者の日」の墓地訪問を禁じた自治体も出た。
6~10日の5日間、保健省のデータを更新できなかったサンパウロ州の場合、州政府は増加傾向が戻った事を否定している。だが、サンパウロ市の14の私立病院の医師達は、3~4週間前から来診者や入院患者が増えているとし、「感染防止のための措置継続を」と呼びかけている。
3~4週間前から増えたという感染患者は比較的軽症で、A~Cクラスの青年が多いが、病院側は集中治療室を再び増やすなどの対応を迫られている。この層の人達は感染拡大がより顕著だった時期も自宅勤務や自主隔離が可能で、大量のウイルスにさらされる機会が比較的少なかった。14病院の医師達は規制緩和や心の緩みが感染者増の原因と見ている。
国内では、マスク着用や社会的隔離などを呼びかける感染拡大防止キャンペーン実施を検討しているグループがある。マスク着用や社会的隔離は飛沫感染などを防ぎ、大量のウイルスにさらされるのを回避する。
また、少量のウイルスが体内に入った場合は微量の抗体を繰り返し得る事ができるため、感染しても軽症で済む可能性があるとする専門家も出ている。
サンパウロ州のドリア知事は13日、人混みが予測されるイベントなどを禁じ、病院ではコロナ感染者への対応を優先させるよう指示する意向を示した。