今回の統一地方選では、ボルソナロ大統領の推薦する市長、市議会議員候補が軒並み苦戦を強いられた。政党では進歩党(PP)、社会民主党(PSD)、民主党(DEM)といったセントロン系の躍進が目立ち、下院最大勢力のはずの労働者党(PT)や、与党・社会民主党(PSL)の不振が目立った。DEMは今年7月にセントロンを離脱済みだが、「セントロン系」として扱う。16日付伯字紙が報じている。
今回の統一地方選でボルソナロ大統領は、新党「ブラジル同盟」の結成が選挙に間に合わず、本来は不参加のはずだった。だが、自分のネット生放送では推薦する13都市の市長候補を具体名をあげて応援していた。
だが、この中で当選したのは2人のみで、決選投票に進んだのも2人だけだ。決選投票に進んだ中のひとりはリオ市長候補のマルセロ・クリヴェラ氏(共和者・RP)だが、現状ではかなりの劣勢だ。
また、45人の市議会議員候補を推したが、当選は12人。その内のひとりはリオ市議に当選した次男カルロス氏(RP)だが、トップ当選した前回16年の選挙から30%(3万6千票)減の7万票で、2位に終わった。カルロス氏はボルソナロ名義で出馬して唯一当選した候補者で、ボルソナロと名乗った他の候補68人はみな、落選している。また、カルロス氏の得票数は期待された15万票を大きく割り込み、大統領に対する支持率低下を物語る結果となった。
15日までに当選が確定した市長数が最多だった政党は、771人が当選した老舗政党の民主運動(MDB)で予想通り。2位は495人から630人に増えたPP、3位に495人から630人に増えたPSD、民主社会党(PSDB)を4位に挟んで、265人から459人と大躍進を遂げて5位のDEMなど、セントロン系の急増が目立った。
一方、18年の下院選でもっとも議席を取ったPTと、ボルソナロ大統領の前党であるPSLが、今回の選挙でもっとも選挙放送時間と支援金が与えられたにもかかわらず、前者が11位、後者が16位に沈んでいる。
PTは、サンパウロ市長選で決選投票に進み、一躍注目されたギリェルメ・ボウロス氏(社会主義自由党・PSOL)のような巧みなネット戦略に欠け、7位に入った民主労働党(PDT)、8位のブラジル社会党(PSB)といった左派で新たな覇権を狙う勢力に敗れた形となった。
サンパウロ市議会で大ベテランのエドァウルド・スプリシー氏がトップ当選したのをはじめ、最多の8議席を獲得したこと、市長選の決選投票に最多の15人が進んだことで気を吐いたのが、PTにとって数少ない明るいニュースだ。
昨年11月にボルソナロ氏が離脱して以来、失速中のPSLは州都で全滅し、サンパウロ市議会、リオ市議会も1人ずつの当選で終わるなど惨敗におわった。