英国のインペリアル・カレッジが17日、ブラジルの「実効再生産数(Rt)」は1・10と発表し、ブラジルが再び感染拡大傾向に戻った事が明らかになったと同日付現地サイトが報じた。
Rtは、2週間の死者の推移を基に、感染症の流行下(感染拡大抑制努力が行われている、または、抗体を持つ人が既にいる状態)で1人の患者が直接感染させ得る人の数を試算したものだ。
8日発表のRtは過去最小の0・68だったから、急激な上昇だ。ブラジルでは5~11日の間、保健省のシステムが正常に機能しておらず、8日の数値(7日までのデータで算出)はもう少し高かった可能性がある。
同じ理由から、今回発表されたRt(16日までのデータ使用)も細心の注意が必要で、1・05~1・24の範囲との但し書きがついた。
サンパウロ州のRtは1・05で、23日の時点で1・11になると見られている。サンパウロ市のRtは1・36で、1・41に上がる見込みだ。サンパウロ州での感染拡大傾向は、サンパウロ総合大学(USP)やパウリスタ州立大学の研究者達も11月のはじめから認識していた。
サンパウロ市内14の私立病院では、10月の半ば(3~4週間前)から入院患者が増え始め、集中治療室や一般病棟の病床を増やす必要に迫られている。
保健省のシステムの問題でデータが更新ができなかったため、サンパウロ州政府は12日の時点で入院患者増加を否定していた。だが16日には、州内の公、私立病院の1日の入院患者数(移動7日間の平均)が859人から1009人に18%増えた事を認め、17日には外出自粛(クアレンテーナ)の12月16日までの延長も発表した。
10月から統一地方選のキャンペーンが始まった事、1、2日が連休となった事、コロナの感染者や死者が減少傾向になり、警戒心が緩んだ事などによる感染拡大は全国的な傾向だ。
18日付エスタード紙は、独自のコロナ対策を採用して感染者拡大を抑制していたサンパウロ市パライゾポリスで、救急隊の出動要請が増えた事や、同市のイスラエリタ・アルベルト・アインシュタイン病院が患者増で警告を発している事と共に、パラナ州とサンタカタリーナ州が急を要しない手術の延期を決めた事などを報じた。南部3州は皆、感染者数や死者数が増加傾向にある。
感染者や死者増加傾向は北東部も同様で、10月末にはバイア州とセアラー州が、今月10日にはリオ・グランデ・ド・ノルテ州が、非常事態を宣言している。
17日付G1サイトでは、7日間の平均での1日あたりの死者数が14日前より71%増の557人となり、10月12日以来の高い数値となった事と、ロライマの367%増を筆頭に14州が増加傾向にある事を報じた。
同時点で減少と評価されたのはアマゾナス、セアラ、アラゴアス、セルジッペの4州、安定と評価されたのは8州と連邦直轄区だった。
保健省は17日午後、感染者は前日比3万5294人増の591万1758人、死者は685人増の16万6699人、536万1592人は既に回復と報告した。