国際協力機構(JICA)と一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン(ASSC)が共同事務局となり、責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム「JP‐MIRAI」(https://jp-mirai.org/)が、16日にJICA緒方貞子平和開発研究所・国際会議場(東京・市ヶ谷)で設立された。世界的に少子化が進み、優良な外国人労働者の確保が困難な競争時代に入る中、外国人材から「選ばれる日本」になる体制を作るための組織だ。設立フォーラムには会場参加者62人とオンライン参加者325人計387人が参加し、満場一致の賛成を得て正式な設立が決定した。
「日本に来て良かったと思ってもらえる日本にしなければ」。16日に開催された設立フォーラムの主催者挨拶で、北岡伸一JICA理事長はそう訴えた。同プラットフォーム設立の目的は、優良な外国人労働者を確保するために、日本での就労・生活環境改善を図り、国際的な評価と信頼を高めることだ。
日本国内の少子高齢化と地方過疎問題を考えると、相当数の外国人労働者を受け入れる必要がある。一方で、現在の外国人労働者を巡る問題から「日本に悪い印象を持ち帰国する人は少なくない」と北岡理事長は訴えた。
自民党外国人労働者等特別委員長の片山さつき参議院議員が来賓挨拶に登壇。基調講演に池上彰氏や、ベトナムで企業経営コンサルや人材斡旋を行うONE-VALUE株式会社のフィ・ホア代表取締役も招かれ、外国人材を取り巻く環境について語った。
池上氏は、日本の少子高齢化による生産年齢人口の減少を外国人労働者が補っている現状に加え、2030年代には生産年齢減少が極限に達すると解説。外国人労働者を迎える環境整備の重要性を訴えた。
ホア代表取締役は、ベトナム人側の視点として日本は良い面も多いが「新しいことに挑戦する人の少なさ」や「変化への対応の遅さ」「女性の社会的活躍の少なさ」から「ベトナムの高度人材にとって日本は魅力的な働き先ではなくなりつつある」と指摘した。
来日ベトナム人による犯罪についても、多額の借金をかかえて渡日する制度的要因や、友人・先輩との繋がりの強さから「犯罪にそそのかされる」コミュニティー要因や就労先での不当な待遇などの構造的要因を分析し、政策提言を行った。
同プラットフォームは、外国人労働者を受け入れる民間企業及び業界団体、労働組合、市民社会、メディア、研究者らと共に政府からの協力も得て「政労使」に近い形のプラットフォーム運営となる。和田征樹JP-MIRAI事務局長は閉会の挨拶で「ここで議論されたものが〝選ばれる日本〟を醸成していくきっかけになれば」と締めくくり発展を願った。
主な活動内容は、外国人労働者の声を直接聞く事で、彼らが抱える問題の把握と有益情報発信によるコミュニケーション強化。日本や途上国の公的機関・政府機関との連携を強化し解決策を検討する。国内外への情報発信も行っていく予定だ。