米国大統領選でジョー・バイデン氏が当選確実と言われ始めてから2週間になるが、ボルソナロ大統領は世界でも数少なくなった「承認を行っていない大統領」として注目されている。当初、ボルソナロ側近が主張していた「トランプ大統領の求める複数の州の再集計」による大逆転の可能性がほぼ絶たれた今、「承認するのではないか」とする声もあがりはじめている。20日付現地紙サイトが報じている。
ボルソナロ大統領は米国大統領選の開票の頃から、米国大統領選に関する発言を積極的には行わず沈黙を守っている。トランプ大統領の熱烈な支持者として知られているが、バイデン氏の当確後、トランプ氏が毎日のようにネットで陰謀論を主張して訴訟を行っていても、ボルソナロ氏がそれに加勢する動きは見せていない。
ただし、ボルソナロ氏は依然として、バイデン氏を大統領と認める発言を行っていない。各国首脳の承認は国際的な動きで、南米諸国もブラジル以外はすべて承認。それどころか、バイデン氏は17日に、チリのピニェラ大統領、インドのモジ首相、南アフリカのラマポーザ大統領といった南米やBRICS諸国の首脳のみならず、ボルソナロ氏が極右で同盟を組みたがっているイスラエルのネタニヤフ首相とまで、会話を交わしている。このような状況下、ボルソナロ氏は世界に取り残された格好になっている。
ボルソナロ氏の側近はこの沈黙について、「まだトランプ氏が票の再集計を求めて訴訟を行っている段階なので、再集計が終わるまでは」とその姿勢を代弁していた。
だが、20日には再集計となっていたジョージア州で、手集計による2度目の集計が終わり、またしてもトランプ氏の敗北が明らかになった。再集計の要求を行っていたペンシルヴァニア州、アリゾナ州、ミシガン州でも却下されている。現状で再集計の可能性があるのはウィスコンシン州内の数地区のみ。それでさえ、300万ドルの費用をトランプ氏が負担しないとならない状況だ。
選挙人で過半数の270人を獲得するにはバイデン氏勝利の州を3、4州逆転させなければならない状況を考えると、12月14日の選挙人投票までに逆転する可能性はほぼ皆無だ。
側近が公言していた「承認のための基準」を超えたことで20日、「ボルソナロ氏が承認するのではないか」との憶測が流れ注目された。だが、この日もボルソナロ氏は沈黙を守っている。
とはいえ、すでに「個人的見解」としながらも、バイデン氏を大統領と認めているモウロン副大統領をはじめ、政権内では大半が認めている。一部報道では、熱狂的なトランプ支持者であるエルネスト・アラウージョ外相が、バイデン氏を認めないようボルソナロ氏説得工作を行っているとする説も流れている。