11月15日、29日に行われた統一地方選では、社会民主党(PSDB)や民主党(DEM)、セントロンなどの中道系政党がうまく波に乗った。それぞれの州での実権を強め、22年の統一選挙に向けた新たな政界の力になりうると、1日フォーリャ紙が報じている。
同紙によると、統一地方選挙の特性は、当選市長の数やその地域に住む住民数の増加を勝ち得た政党は、その州内での実権掌握を強め、政党内での影響力をより強固にすることだという。
その実例として同紙があげているのが、サンパウロ州やリオ・グランデ・ド・ノルテ州でのPSDB、リオ州とバイア州でのDEM、セントロン系政党ではミナス・ジェライス州とパラナ州での社会民主党(PSD)とピアウイ州とアラゴアス州での進歩党(PP)、左派ではセアラー州やマラニョン州での民主労働党(PDT)などだという。
たとえばサンパウロ州でPSDBは、ブルーノ・コーヴァス氏が全国最大の有権者数を誇るサンパウロ市で当選したのをはじめ、前回16年の選挙を8市上回る172市で市長を生んだ。同党の当選市長がおさめる有権者数は州内最多の2230万人だ。これはジョアン・ドリア・サンパウロ州知事の州内での影響力にさらに力を与えるだけでなく、22年大統領選に向けた勢いにつながるものだ。
PSDBはリオ・グランデ・ド・ノルテでも市長数を10人から州都も含む31人に増やした。
DEMは、リオ州とバイア州で有権者数が最多の政党となる。これは22年の知事選に向けた好材料だ。リオ州はウィルソン・ヴィッツェル現知事(キリスト教社会党・PSC)が罷免の危機にあり、次回は未知数となる知事選で付け入るチャンスがある上、州都を含む10市、800万人をおさめることになる。
また、長らく労働者党(PT)の地盤とされていたバイーア州でも、人口が多い30市中9市など、37市の市長選で勝利し、450万人をおさめることになった。
これで、DEM党首で同州最大の政治一家の子孫であるACMネット前サルバドール市長を、PTの大物のジャッケス・ヴァギネル氏が出馬すると見られる22年知事選にぶつける公算が高まった。同州でPTは34市の市長、有権者数は75万人で後塵を拝した。
今回の選挙で市長数を最も増やしたPPは、バイア州での市長数を54人から91人に、サンパウロ州でも13人を31人に増やすなど大躍進した上、元々強かった北東部のピアウイ、アラゴアス両州での地盤をさらに固めた。
PPと並ぶセントロン政党のPSDも大躍進し、ミナス・ジェライス州とパラナ州の二つで各州最大数の有権者を得た。MG州では、ボルソナロ大統領派のロメウ・ゼマ知事(ノーヴォ)が不人気で、州都ベロ・オリゾンテを高支持率で再選を決めたアレッシャンドレ・カリル氏が、知事選に出れば勝てるのではという声も高まっている。
22年の大統領選出馬が予想されるシロ・ゴメス氏のPDTは、拠点のセアラー州で67市内中49市で市長を生んで大勝した。また、マラニョンの州都サンルイスでは、エドゥアルド・ブライデ氏(ポデモス)の副を立て、大統領選での左派のライバルと予想されるフラヴィオ・ジノ知事(ブラジル共産党・PCdoB)が推薦したドゥアルテ・ジュニオル候補(共和者)を下している。
一方、PTは州都の市長ゼロで、有権者数が最多となる州も作れなかった。ボルソナロ大統領も、自身が推した候補からは州都の新市長が生まれなかっただけでなく、むしろ左派寄りの州都市長があらたに4人生まれるなど、形勢が不利になっている。