ブラジル南部のサンタカタリーナ州クリシウーマ市で11月30日から12月1日にかけて、同州史上最大で最も暴力的とされた銀行強盗が起きた直後の2日未明、ブラジル北部のパラー州でも全く同様の手口の銀行強盗事件が起き、死傷者も出た。
今回は、アマゾン川流域のパラー州州都ベレン市から南西に上流へ235キロのカマター市で起き、市中央部のブラジル銀行が狙われた。サンタカタリーナでの事件同様、軍警の本部前にバリケードを築いて放火して警官の出動を遅らせた後、バーにいた人達を人質とし、警官隊の接近・追跡を阻むための盾とした上で銀行を襲撃した。
強盗団は少なくとも10人はおり、爆発物で銀行内を破壊した後、約1時間半かけて現金などを物色後、車で逃走。途中からは車を乗り捨て、水路で逃げたという。
犯人達は高性能の小銃などの重火器と爆薬で武装しており、警官との銃撃戦も発生。軍警本部前で起きた銃撃戦の現場から逃げようとして駆け出した人質のアレサンドロ・デ・ジェズス・ロペス・モラエス氏(25)は、銃弾を浴びて死亡した。彼以外にも足を撃たれて入院した人も1人いるが、命には別条はないという。
同州のエルデル・バルバーリョ知事によると、強盗団は銀行を破壊したものの、金庫を間違えたため現金は盗まれていないという。
パラー州ではここ4年間で51件の銀行強盗が起きている。今年も、1月30日と4月3日に事件が起きたが、同州保安局によると、これらの事件に関与した犯人はほぼ全員逮捕されたという。
今回のように迅速かつ暴力的、人質をとり、銃を乱射したりしながら行う銀行強盗事件は、19世紀末から北東部で活動した盗賊「カンガッソ(カンガセイロ)」の近代版を意味する「ノヴォ・カンガッソ」、または「ヴァポール(蒸気)」と呼ばれる。
歴史上のカンガセイロには大土地所有者(大金持ち)を標的とする者もおり、民衆から“義賊”と扱われる人もいた。
現在、同種の事件は、警官が少ない内陸部の中小規模の町を狙う例が多い。(2日付G1サイト、同アジェンシア・ブラジルより)