保健省が新型コロナウイルスに対するワクチン接種を3月頃にはじめるとの計画書を作成中で、予防接種は高齢者、医療関係者、先住民を最優先する考えであることがわかった。2日付現地が報じている。
準備段階での見解は、保健省が1日に、オズワルド・クルス財団、ブタンタン研究所その他の研究機関、州ならびに市の保健局局長からなる審議会と共に行った会議で表明され、その内容はその日の内に一斉に報じられた。
それによると、保健省は来年の3~12月に、4段階でワクチン接種を行うことを考えているという。
第1段階は、医療関係者、75歳以上の高齢者、老人ホームなどに入居している60歳以上の高齢者、先住民の計1400万人を対象。この段階で必要とされるワクチンは2940万回分。接種回数は「1人につき2回」だが、損失・紛失が出た場合に備えて5%の予備が上積みされた計算だ。
第2段階は60歳以上の高齢者。まず70〜74歳から接種を始め、65〜69歳、60〜64歳と続く。2100万人が接種対象となる。
第3段階は18歳以上の慢性疾患の持ち主。ここでいう疾患とは、糖尿病、高血圧、肺や心臓、腎臓の疾患、臓器移植、5年以内に発見された癌、重度の肥満など。1260万人の接種を見込んでいる。
第4段階は、「必要不可欠」とされる職種の人への接種。対象となるのは学校の教員や警備・治安・救助の関係者、刑務所職員など。接種予定者は5100万人だ。
それ以外の人々への接種計画は、まだできていない。
現時点で保健省が対象ワクチンとしているのは、イギリスのオックスフォード大学とアストラゼネカ社が開発中のワクチンだけだが、他のワクチンを購入する可能性も捨ててはいないという。保健省は10月19日、中国のシノバック社が聖市ブタンタン研究所と共同で治験を行っているワクチン「コロナバック」の購入を発表したが、ボルソナロ大統領の強硬な反対で翌日に立ち消えとなっている。
保健省が会合後に発表した声明によると、同省はすでに1億4290万回分のワクチンを確保しているという。その中の1億400万回分はアストラゼネカ社とオズワルド・クルス財団との協定に基づくもので、残りはコヴァックス・ファシリティ社によるものだ。
しかしこの数では、2億人を超えるブラジルの全国民には行き渡らず、健康で60歳以下の人たちは接種できない。
コロナバックや、治験で高い成功率を示して注目されている米国のファイザー、モデルナ両社のワクチン、パラナ州政府が実用化に興味を示しているスプートニクVなどとの契約が今後どうなるかが、この保健省の発表では不透明だ。
オックスフォード大学とアストラゼネカ社のワクチンは、ファイザーやモデルナ社よりも安価にワクチンが製造できる点や、保存時の温度が極低温でなくても良い点で評価されている。だが、新たな治験が必要となり、実用化が遅れる可能性が高くなっている。
正式な予防接種計画は、ワクチンが国家衛生監督庁(Anvisa)に正式登録された後に決定される。