地理統計院(IBGE)は3日、第3四半期の国内総生産(GDP)を発表した。コロナの外出自粛が緩和されたことを反映して、GDPは7・7%の上昇を記録したが、経済界の専門家や連邦政府が期待していた水準には達しなかった。3日付現地サイトが報じている。
パンデミックの影響で、第1四半期のGDPは前期比で1・5%減、第2四半期も同9・6%減と落ちこんでいた。だが第3四半期は、規制緩和した地域が全国的に増えたことを受け、7・7%の上昇となった。
この伸び幅は、四半期としては1996年の統計開始以来の最高値で、景気後退(リセッション)も脱した。だが今年の累計ではまだ、5%のマイナス成長となっている。第2四半期の回復は、連邦政府による緊急支援金支給などによるところが大きいが、回復にはばらつきがある。
GDP回復を支えた分野と成長率を伸びの大きかったものから挙げていくと、製造業23・7%増、商業15・9%増、工業14・8%増、投資11%増、家庭消費7・6%増、サービス業6・3%増、建築業5・6%増、公共支出3・5%増となっている。
商業の伸びが大きかったのは、外出緩和によって購買意欲が回復したから。それを支えていたのは、連邦政府が支給した1回600レアル(家計を支える女性は2倍)の緊急支援金だ。これに支えられたのは、乗り物・家電9・4%増、建築資材7・9%増、薬品6・5%増、スーパーマーケット5・5%増など。
工業は9月に、コロナ禍がはじまる直前の2月と比べて0・2%の生産増を記録した。製造業などを含む工業全般は、国内の雇用創出に最も貢献した。
だが、10月までの累積成長がプラスに転じているのは、タバコなど、27部門中6部門しかない。つまり、コロナ禍で受けたダメージを完全に挽回するには至っていない。特に指摘されているのはこん包材などを含む原材料不足で、これが足を引っ張っている。
投資部門は大きく伸びはしたが、先行き不透明感が阻害要因となり、伸びを鈍らせている。
サービス部門も伸びたが、外出自粛規制による締め付けがまだ継続している外食部門や娯楽に関する部門は大きく落ち込んだ状態が続いており、全体の伸びを鈍らせている。
建築部門は、家の買い替えや改修を希望する人が増えたことを反映し、不動産販売が前四半期比で57・5%伸びたことが後押しした。
逆に、パンデミックの影響をあまり受けず、通常はGDPのけん引役の農牧業は、農閑期に入ったことなどで0・5%減だった。農牧業は例年、第3四半期に減少傾向があるが、今年の累積ではプラス成長だ。
また、為替の影響でドル高が進んだことにより、輸入が9・6%減と大きく落ち込んだ。輸出もレアル安の利点を生かせず2・1%減で終わった。
投資も前期が16・5%減だったため、成長に転じたが、今年の累積では5・5%減だ。GDPに占める割合は16・2%で、昨年同期比の16・2%を下回った。
こうしたことが重なったことで、第3四半期のGDPの伸びは、アナリストたちが期待した9%増を下回った。国際的に見ても、中規模の成長で終わった。
だが、経済省は第3四半期での伸びを評価し、2021年は「緊急支援金がなくても大丈夫」との見解を示している。