ダヴィ・アルコルンブレ上院議長、ロドリゴ・マイア下院議長(共に民主党・DEM)の議長再選への出馬が有効か否かを問う最高裁審理は6日に判事投票が出揃い、無効が多数となった。4日時点では有効とする票が先行したが、世論の「憲法違反」との声に押される形となった。これで、セントロンのアルトゥール・リラ(進歩党・PP)を下院議長に据えて、議会運営を政府寄りに導きたいボルソナロ大統領には有利となった。5〜7日付現地紙が報じている。
4日にはじまった審理は当初、報告官のジウマール・メンデス判事が主張した「連邦議会のことは議会で決める権利がある」との説に続き、前長官のジアス・トフォリ、リカルド・レヴァンドウスキー、アレッシャンドレ・デ・モラエス判事が賛成票を投じた。
新任判事のカシオ・マルケス判事は、「アルコルンブレ氏は有効だが、(実質上、4期連続となる)マイア氏は無効」との判断を下した。この時点では、両議長の再選出馬が認められそうな勢いだった。
だが、当初はあまり注目を浴びていなかったこの審理だが、報道が重ねられることで「違憲」という点が問題視されるようになった。憲法では「同じ任期内の連邦議員の同じ役職への再就任」が禁止されている。
現職議員の任期は2019年2月から2023年1月で、役職の任期は2年間だ。それに従うと、21年2月からの議長職の継続は不可能だ。ましてマイア氏は前任期(2015〜18年)においても、2016年7月から下院議長をつとめている。
議長再選に最も反発したのはボルソナロ大統領支持派の人々だが、通常は大統領に批判的なメディアやジャーナリストたちからも反対する意見があがっていた。また、議会内のマイア氏支持派からも批判が上がった。
こうした声に押されるように、判事投票の形勢が逆転した。5日はマルコ・アウレーリオ・メロ、カルメン・ルシア、ローザ・ウェベルの3判事が反対票を投じた。これでアルコルンブレ氏が5―3、マイア氏は4―4となった。
そして翌6日には、ルイス・ロベルト・バローゾ、エジソン・ファキン判事の両判事が反対。この時点でマイア氏の出馬が無効となり、最後はルイス・フクス判事が反対票を投じたことでアルコルンブレ氏の出馬も無効となった。最後の2日間に残っていたアウレーリオ、ローザ、バローゾの3判事は憲法遵守派の判事として有名だ。
これで、ボルソナロ大統領が下院議長として推したいリラ氏にとっての最大のライバルのマイア氏がいなくなり、有利になった。ボルソナロ氏はこれまで、自身の望む法案がマイア氏によって却下されることが多かった。
一方、マイア氏は今回の結果に対し、「そもそも出馬の意向はない。憲法を犯すつもりはない」と語り、最高裁の決定に従う意向を示した。マイア氏は「私の派閥からの代表を出すまでだ」と語っている。
そもそも、この審理は現上下院長が出馬の意向を公式に表明したことで起こったものではなく、大統領支持派のブラジル労働党(PTB)が訴えたことによって起こったものだった。