サンパウロ州サンミゲル・アルカンジョ(SMA)市の市議に出馬して初当選を果した、渡辺クラウジオ悟さん(二世、38歳、PSD=社会民主党)は、「今日に全力を注げば必ず明日は良くなる。土の下(墓)には何も持って行けないのだから」という座右の銘を持つ。パウロ・リカルド・デ・シルヴァ同市市長と共に11月26日、聖市のサンパウロ日伯援護協会本部を訪問し、来年から新会長となる税田パウロ清七次期会長との顔合わせを行った。
援協はSMA病院を運営し、統一医療保険システム(SUS)対応をして全市民の医療を支えている関係で、市とは密接な間柄だ。
渡辺さんは同市で葡萄や冬柿といった果物を栽培する農家を営んでいる。高校卒業後、17歳で全国拓植農業協同組合連合会(JATAK)の研修によって埼玉県桶川市の蘭農家で1年間滞日していた経験も持ち、日本語の会話も堪能だ。
市議会には「元々立候補する気が無かった」と微笑む渡辺さんだが「会う度に『立候補しなさいよ』と市長や皆さんから言われて」と、同席していた援協の早川量通常任理事やSMA病院運営委員長も務める森エリオ常任理事を見回した。
「彼は困っている人がいたらほっとけない人なんです」と早川理事は彼の人柄を評した。以前同市近くで体調が悪くなったところ、渡辺さんが掛けつけてくれ、病院で世話をして早川さんの自宅のあるソロカバまでわざわざ送り届けてくれた。
森常任理事は、渡辺さんの子の名づけ親であるだけでなく、同市で市議会議長を3回務めた経験を持つだけに、渡辺さんの政治的後見人として「次の4年後、8年後と続けて当選できるよう頑張って欲しい」と激励を送り、当選を喜んだ。
出馬の動機について「一世である両親の存在もきっかけの一つ」という。一般のブラジル人の価値観は日本人と異なる部分があり、自分が政治家になれば、二世としてその橋渡し役ができるのではと考えたと説明する。
早川、森常任理事2氏は「伯人と日系人の両方の気持ちがわかる市議として懸け橋になってくれるはず」と期待を寄せる。
シルヴァ市長は本紙読者にむけ「さらに市民のために頑張っていく所存です」と力強いコメントを寄せた。