国家配給公社(Conab)が10日、2020/21農年の穀物の予測収量は前農年比3・5%増の2億6590万トンと発表したと同日付現地サイトが報じた。
予想収量は11月より300万トン少ないが、昨農年に続き、新記録更新の見込みだ。予測収量減少は南部での干ばつを考慮したためで、南部での大豆や米の予測収量は先月並みだが、トウモロコシの予測収量が減ったという。作付面積は先月比11万9千ヘクタール減だが、昨農年比で1・6%増の6700万ヘクタールの見込みだ。
大豆の予測収量は11月より45万トン減の1億3450万トンだが、世界一は維持する見込みだ。作付面積は昨農年より3・3%増えている。
第1期のトウモロコシは作付面積が2・1%減少。1~3期合わせた予測収量は1億260万トンで、11月の予測より269万トン減った。
フェイジョンの予測収量は310万トン、米は1090万トンだ。米の収量は、水田米1千万トン、陸稲90万トンの見込みで、作付面積は3・2%増えている。小麦は620万トン、棉は270万トンの見込みだ。棉の作付面積は8・1%減の150万ヘクタールとなる見込みだ。
同公社によると、大豆の輸出は11月現在で175万トンで、昨年同期より31%多い。トウモロコシは2770万トンで、昨年同期より20%少ないが、11月だけ見ると19%増えている。
ただ、農業関係のコンサルタントや農家は、今農年の収量は今後も下方修正される可能性ありと見ている。中西部や南部はラニーニャなどによる厳しい干ばつに襲われ、雨不足による作付の遅れで生産性が落ちた上、作付のやり直しが必要な地域も出ている。
5日付現地紙や6、7日付現地サイトによると、大豆の主要産地のマット・グロッソ州も被害が大きい。同州では5日現在で17日間連続降雨ゼロなど、12月になっても状況が好転していない。
同州の大豆生産者は、「雨不足と日照りで種が焼け、発芽しない」「散水機を稼働しても水が届かない所では芽が出ず、蒔き直しが必要」「水やりと蒔き直しで生産コストは増すが、生産性は低下」などと語っている。ジアマンチーノ市では作付した2万4千ヘクタール中1200へクタールで種をまき直す必要が生じるなど、多くの農家が未曽有の状況に直面している。
マット・グロッソ・ド・スル州でも、雨不足で地面が固くなり、機械が使えないなど、緊急事態が生じている自治体が70%に及んでいる。同州の8~10月の降水量は平年の54%で、森林火災が続いたパンタナルは雨がほぼ皆無だった。
テラ・アグロネゴシオス社では、大豆の収量は1億3140万トン、トウモロコシは2260万トンと予測。アグロコンスルト社も大豆収量を1億3320万トンと予測するなど、より厳しい見方をしている。大豆とトウモロコシ、米の収量は11月時点のConabの予測を730万トン下回るとの声も出ている。