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佐藤次期市長が日系団体視察=「ACENBOに学びたい」=独立採算制とり健全運営

「日本の文化施設経営法を教えてください」と、あいさつするジャンジーラ市の佐藤ヘンリー市長

「日本の文化施設経営法を教えてください」と、あいさつするジャンジーラ市の佐藤ヘンリー市長

 先の統一地方選挙で聖州ジャンジーラ市長に当選した佐藤ヘンリーさんを先頭に、同市のブラジル大本教の秋山昌廣特派宣教師、同市出身のブラジル相撲選手権大会優勝者の石丸フェリッペ選手、非日系人の同市副市長の4人が6日正午、オザスコ日伯文化体育協会(ACENBO=オザスコ市)を訪問して荒木進会長ら役員と懇談した。地方文協としては最大級の敷地を所有し、健全な組織運営・経営をする同文協の実態を視察し、ジャンジーラ市にも同様な文化施設を作り充実させたい意向だという。

 

 同日午前9時からACENBOの会長選挙が行われ、荒木進前会長が再選された。これまで6期(12年)務め、7期(14年)は同会会長としては任期最長となる。
 正午から親睦忘年会が開かれ、一品持ち寄りで、シュラスコが振舞われた。ジャンジーラ市長たち4人は忘年会に招待され、荒木会長から説明を受けた。
 市長ら招待の場を設定した大瀧多喜夫相撲部長が4人を紹介。佐藤市長は「私もサンパウロ市で柔道を学びましたので、日本の武道には大いに関心があります。ジャンジーラ市出身のフェリッペ選手をブラジルチャンピオンにまで育てていただき感謝しております。オザスコ市が1976年に三重県津市と姉妹提携(来年45周年)したように、ジャンジーラ市も1985年に大本教が取り持つ縁で京都亀岡市と姉妹提携し、今年35周年になります。来年はお互いに節目の年を祝うべく、日本との交流事業も進めましょう」とあいさつした。

左から大瀧多喜夫相撲部長、荒木進ACENBO会長、1人置いてジャンジーラ市の非日系副市長、佐藤ヘンリー市長、ブラジル大本教の秋山昌廣・派遣宣教師、ブラジル相撲選手権大会チャンピオンの石丸フェリッペ選手(ジャンジーラ市出身)

左から大瀧多喜夫相撲部長、荒木進ACENBO会長、1人置いてジャンジーラ市の非日系副市長、佐藤ヘンリー市長、ブラジル大本教の秋山昌廣・派遣宣教師、ブラジル相撲選手権大会チャンピオンの石丸フェリッペ選手(ジャンジーラ市出身)

 荒木会長は「コロナ禍の中でACENBOの役員を辞めた人は一人もいない。それは各部の部長と部員が『自分の得意なことを、自分の責任(経費)で、部を好きなように運営している』からです。今までにACENBOの電気を切られたことは一度もない。つまり赤字になったことは一度もない。私がやらなければならないことは何もない」と説明。クラブ経営ではなく、協会組織を縦割りにして各部が独立して運営する方式を紹介した。
 日本語学校の教師も雇用しているのではなく、教師が自営業者として学校運営に参加している。したがって、ACENBOには労働問題は起きない。
 購入は全て割高になっても課税伝票(ノッタ・フィスカル)付きで行い、3カ月ごとに専門の会計会社に監査してもらっている。専門会社の監査は15年間続けており、裏金的な不正が入り込む余地はない。
 同会所有の敷地面積は2万8千平米。陸上競技、野球場、駐車場を広く取ってある。5日夜にはドライブイン・ショーを実施、盛況を博した。
 会館の建築面積は3800平米有り、今年は会館すべての壁を削って鉄筋のさびを落とす修復工事をして5万レアル以上かかった。業者に頼んだり、資材を買う時には複数の理事の承認を得なければ支出できない。
 日本語、太鼓、生け花、カラオケ、ストレッチ(柔軟)体操、健康体操の各教室のほか、スポーツは相撲、陸上、卓球、ゲートボール、野球、フットサル、バレーボール、シルバー・バレー、バドミントン部がある。
 同会は移民一世の時代に親睦会として始まり、二世の時代を経て三世の時代に入ったところでコロナ禍によって「すべてオンライン」となり、四世代目の孫たちが現在、嬉々として活躍している。荒木会長は「ACENBOが育てた子供たちです」と胸を張った