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《ブラジル》パンデミックで心身症増加=過重な不安心理から体調不良に

体調不良に陥り、周囲の人々との触れ合いをたってしまう人も多い(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 新型コロナウイルスのパンデミックの中、心身症で痛みや体調不良を訴える人が増えている事がわかった。頭痛その他の痛みや体調不良で病院に行くが、検査を行っても原因が見つからず、精神的なものが引き金の心身症と診断されるケースが増えている。
 精神的な苦痛が身体症状になって表出する例はよく見られ、極端な場合は感情的な側面に触れる事すらできないケースもあると語るのは、ブラジル精神医学会(ABP)所属でサンパウロ連邦大学医学部で教鞭もとる精神科医のダニエレ・H・アドモニ氏だ。
 同氏によると、心身症そのものは珍しいものではない。だが、ABPの調査によると、同会所属の精神科医400人の内89%が、新型コロナのパンデミックで患者が増えたり、患者の症状が重くなったと答えているという。

 心身症で表れる主な症状は、呼吸困難、吐き気や下痢などの胃腸障害、動悸、疲労感、集中力不足、考えがまとまらないなどだ。だが、新型コロナなどの特定の病気を極端に怖れていると、新型コロナ感染症などの病気特有の症状を呈する事もあり得るという。
 心身症の治療は心理療法が原則だが、症状が現れる前に心身症の患者か否かを知る事は困難だ。しかし、不安な状態を取り除く方向で治療して行く事で、身体的な症状に発展する可能性は低くなり、身体症状が消える、または軽減していく。
 心身症による身体症状は部分的なものだけではなく、かゆみや末端部の震え、肌のしみその他の全身症状が出る人もいるが、血液検査やレントゲンなどの検査では何も出てこない事が多い。
 現代人は様々な病気を引き起こす要因をもっているが、癌などのより深刻な病気は心身症による病気とはみなさないという。だが、常に不安に駆られる人や非常に強い心配性の人のように心身症を引き起こす要因を持つ人に、免疫力低下につながるストレスホルモンのコルチゾールの分泌増加や、物事を否定的かつ悲観的に見る状況が重なると、病的な状態に陥り、治療が必要な状況に追い込まれてしまうのだという。(12日付アジェンシア・ブラジルより)