ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》下院議長選 決まらない現職後継候補=左派は大統領派候補に反対=カギを握るPTの動向

《ブラジル》下院議長選 決まらない現職後継候補=左派は大統領派候補に反対=カギを握るPTの動向

マイア議長(Jose Cruz)

 次期下院議長選をめぐって、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)と、ボルソナロ大統領が推すアルトゥール・リラ氏(進歩党・PP)の間で、水面下で激しい票争いが進んでいると、17日付現地紙などが報じている。
 ボルソナロ大統領は今年半ばから中道勢力セントロンへ接近しており、その中での最大党で、大統領自身もかつて長期在籍していたPPの下院リーダー格、リラ氏を推している。
 リラ氏は現在、セントロン以外からの票を集めようとしているが、あまりうまくいっていない。
 中道左派のブラジル社会党(PSB)は15日に全国の幹部投票を行い、80対0でリラ氏を支持しないことを決めた。PSB内部には、アラゴアス州選出のリラ氏と同じ北東部の下議の中にリラ氏を推そうとする動きがあったが、否決された形となった。
 民主労働党(PDT)も、カルロス・ルピ党首が「ボルソナロ氏に下院の主導権を渡さない」と発言し、リラ氏を推さないことを決めている。
 16日には労働者党(PT)も同党議員の会合を開催。党首のグレイシ・ホフマン下議が、リラ氏を推さないことを正式に発表した。

 下院議長選では、512人の議員のうち、257票以上の得票が必要となるが、左派ブロックの133票がリラ氏には行かないことは、ほぼ決定しつつある。現時点でのリラ氏は、セントロンのPP、社会自由党(PSD)、自由党(PL)から171票を獲得できそうな見込みだが、左派票で同氏当選が決まるシナリオは消えた。
 一方のマイア氏は、所属のDEMのほか、民主社会党(PSDB)、民主運動(MDB)、シダダニア、緑の党(PV)などを味方につけているが、現状で問題はふたつある。
 ひとつは、マイア氏の後任候補を絞りきれていないことだ。有力候補はアギナルド・リベイロ氏(PP)とバレイア・ロッシ氏(MDB)の二人だ。リベイロ氏はテメル政権時代に下院の政府リーダーをつとめるなど、実績がある人物だが、リラ氏と同じPPの所属で、党が出馬を認めない可能性が強い。一方のバレイア氏の方は、マイア氏の側近の中で強い反対意見が出ているという。
 マイア氏の陣営は、左派票を取り込めれば一気に有利になる。だがPTにはまだ、「独自候補を立てる」という選択肢が残されており、マイア氏を支持するか否かを決めていないという。54議席を持つPTの影響力は大きく、現政権に反対するグループと組み、マイア氏の候補を支持する場合は、副議長に同党議員を置くことを強く求めているという。