ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》トランプ敗戦で高まる外相解任の声=推薦の国連大使、上院で大敗

《ブラジル》トランプ敗戦で高まる外相解任の声=推薦の国連大使、上院で大敗

アラウージョ外相(Romerio Cunha)

 米国大統領選でトランプ大統領が敗北した後、トランプ氏に心酔するエルネスト・アラウージョ外相に対する圧力が強まっている。17日付現地紙が報じている。
 アラウージョ氏の処遇に関しては、11月7日に米国大統領選でジョー・バイデン氏当確と発表された直後から、対米関係を考えて「解任やむなし」とする声が聞かれていた。その圧力は外務省人事の口頭試問(サバチーナ)と承認を行う上院でより明確になった。
 15日に行われた上院本会議では、アラウージョ外相がスイスのジュネーブへの国連伯国大使として推薦していたファビオ・メンデス・マルザーノ氏が就任を否決された。しかも9対37という大差での拒絶宣言だった。
 マルザーノ氏は14日に開催された外交関係委員会のサバチーナでは、他の14人の外交官と共に、13―0の満場一致で承認されていたが、同氏への評価を一変させたのは、サバチーナでカチア・アブレウ上議が行った質問だった。元農相でもある同上議は、「法定アマゾンでの森林伐採増加や、森林伐採に続く森林火災の増加がメルコスルとEUの自由貿易交渉を遅らせているが、それに関してどう思うか」と質問したが、マルザーノ氏は話題をずらして、その質問に答えようとしなかった。

 このことが、国連大使としての同氏と、政府の言いなりになる人物を推薦しようとした外務省に悪印象を持たせることとなり、農牧系議員らの反発を買った。
 加えて、かつては大統領支援者だったが、現在は反大統領派で軍人のマジョール・オリンピオ上議が、マルザーノ氏はそのイデオロギー故に、貿易面だけでなく、国際的な合意進展にも悪影響をもたらすと判断。「こんな男を伯国代表として国連に送り出したら、上院は存在意義と信頼を失う」「この男を地獄に投げ込め!」と宣言し、上議全員に反対票を投じるように求めたことも効いた。
 アラウージョ外相がその代表的存在として知られる、米国在住の極右思想家オラーヴォ・デ・カルヴァーリョ氏のイデオロギーを受けた派閥は、かねてから連邦政府内の軍人官僚から敵視されており、対立が続いている。
 ボルソナロ大統領自身はアラウージョ氏の外相継続を主張しているが、バイデン政権下での対米関係などは強く懸念されている。