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《ブラジル》怖いのはコロナばかりではない!=雨季に危険な蚊媒介感染症

ネッタイシマカが媒介する病気への注意を呼び掛ける21日付アジェンシア・ブラジルの記事の一部

 雨季である夏には、デング熱やチクングニア熱といった蚊が媒介する風土病が毎年増える。今年は新型コロナウイルスの感染拡大と再拡大が話題を独占しているが、例年なら、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)が媒介するデング熱、ジカ熱、チクングニア熱の患者が増え、保健省などが注意を喚起する時期だ。
 今年の1~11月のデング熱患者(疑似症患者も含む)は97万1136人で、死者も528人出ている。人口10万人あたりの患者発生率を地域別に見てみると、中西部が1187・4人で最も高い。以下、南部931・3人、北東部258・6人と続く。デング熱に再感染すると出血性デング熱を起こし、死に至る危険性が増す。
 チクングニア熱の患者は7万8808人で、25人が死亡。死因を調査中の患者も19人いる。チクングニア熱の発生率は北東部が最も高く、10万人あたり99・4人で、南東部の22・7人がそれに続く。チクングニア熱に罹ると、関節などの強い痛みが2~3年続く例が多く、生活の質も落ちる。

 ジカ熱の患者は1~11月初旬までで7006人となっており、発生率は北東部が10万人あたり9人、中西部が3・6人となっている。妊婦がジカ熱に罹ると、小頭症などの発生率が高まる。
 ネッタイシマカは一時的に絶滅したかと思われていたが、ここ30年ほどは、市街地を中心にこれらの疾患の患者の発生が確認されている。近年の患者発生は、たまり水を発生させやすいプラスチック容器の多用なども影響している。
 ネッタイシマカが媒介する病気を防ぐ最善の予防策は、蚊の増殖を阻む事。ペットボトルやタイヤなどは、さかさまにしたり、蓋をして水が入らないようにする、植木鉢の水受け皿には砂を入れるなどしてたまり水をなくし、ボウフラの発生を防ぐ事が必要だ。
 保健省は11月にネッタイシマカの撲滅キャンぺーンを行ったが、ボウフラの発生を抑制する取り組みは全ての市民が参加しないと効果が薄いため、雨の日が増えた今、改めて注意を呼び掛ける声が上がっている。
 なお、同様に蚊が仲介するが農村部などを中心に広がる黄熱病も、感染が疑われるサルの死体が発見される地域が出ており、注意が必要だ。(21日付アジェンシア・ブラジルなどより)